インターリスクレポートより                              

執筆 インターリスク上海 コンサルティング部 マネージャー 藤田亮

インターリスクレポート「中国風険消息<中国関連リスク情報>」は、中国に拠点をお持ちの企業の皆様にお届けするリスク情報レポートです。中国における種々のリスク(火災等の事故、自然災害、法令違反、情報漏えい、労務リスク等)につい て、時節に応じた話題や、社会の関心が高いトピックを取り上げて解説しています。

 ※中国語で「風険」はリスク、「消息」は情報・ニュースの意味です。

自社派遣者の国外退避について
~ 最悪の事態を想定した備えのすすめ ~

1.国外への退避が求められるようなリスクとは
現在、世界に進出している日本企業の海外現地法人数は、約2万4000社に上ると言われています。

また、進出先も、北米、欧州、中国等に留まらず、アフリカ、中東、インド、南米まで多岐に渡るようになっています。

一方で、海外では日本では考えられないようなリスクへの対応が求められることもあります。最悪の場合、進出先からの退避が必要な事態に見舞われることもあるでしょう。このように国外への退避が求められる要因としては、どのようなものが挙げられるでしょうか。下記<表1>は、外務省から発表された過去の「危険情報(※i)」のうち、「退避を勧告します。渡航を延期してください。」と発出されたもの(参照:<表2>)について、発出の要因別に件数を調べたものです(※ii)。これに基づくと、「治安等」を要因とした発出が圧倒的に多く、次に多いのが「疾病等」となっています。よって、国外退避を想定した備えを検討される際は、「治安の急激な悪化」や、「疾病等の蔓延」を念頭におくのが妥当といえるでしょう。