【パリ時事】スペインとポルトガルの全域で28日、大規模な停電が起き、市民生活を直撃した。電話・インターネットや鉄道はまひし、企業、政府機関は臨時閉鎖。道路は大渋滞となり、空の便に欠航が相次いだ。電力供給は29日までに復旧したものの、停電の原因は不明。証拠はないが、サイバー攻撃の可能性も指摘される。
 欧州南西のイベリア半島に位置する両国は人口計6000万人弱。停電を免れたのはごく一部で、多くの人々がトラブルに巻き込まれた。ただ、病院は集中治療が必要な患者らに非常用電源で対応。スペインの原発に異常はなかった。
 現地報道によれば、スペインでは28日昼ごろ、全国需要の約6割に相当するとみられる膨大な電力供給が突然途絶えた。急激な変動で同国は欧州電力網からも一時切り離され、長時間の停電につながったようだ。
 サンチェス首相は同日のテレビ演説で、発電が変調を来した理由について「決定的な情報はまだない」と説明した。ポルトガルのモンテネグロ首相は、同国での停電は「おそらくスペイン」の余波だと主張した。
 一方、SNSではサイバー攻撃説が独り歩き。LUSA通信によると、ポルトガル政府高官はその可能性を認めた上で、「確認はされていない」と述べた。同国出身のコスタ欧州連合(EU)大統領は「現時点で証拠はない」と強調した。 
〔写真説明〕28日、大規模停電に巻き込まれ、スペイン南部コルドバの駅で夜を過ごす人々(AFP時事)
〔写真説明〕28日、停電に見舞われたスペイン・バルセロナのスーパーマーケットで、懐中電灯を使って客に対応する従業員(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)