BIAの結果を可視化しBCPに反映させているかどうかで非常時の意思決定に差が出る(イメージ:写真AC)

■ハイレベルBIAと業務プロセスBIA

ビジネスインパクト分析には、何を対象とするかで2つのアプローチがある。一つは複数の事業部門(X事業、Y事業…)を持つ会社が、非常時にどの事業部門を優先的に守るのかを選定するために行う。これを「ハイレベルBIA」と呼ぶ。

もう一つは、一つの中核事業を構成する複数の業務(仕入業務、営業業務、製造工程…)が止まった時にどの業務を優先的に再開(復旧)すべきかを特定するために行う。これを「業務プロセスBIA」と呼ぶ。

優先順位は経営者の頭の中に入っているとはいえ(イメージ:写真AC)

大企業と異なり、多くの中小企業では上記のプライオリティはすでに経営者や現場の部課長の頭の中に入っているから、わざわざBIAなどというややこしいことをやろうとは考えていない。しかし、BIAの結果を可視化し、BCPに反映させているかどうかで、非常時の判断や意思決定に差が出てくることはいうまでもない。以下では、最も重要な「業務プロセスBIA」(以下BIAと略す)を中心に解説する。

ちなみに中小零細企業では、BCPを一人の担当者が自己完結的に作成している姿をよく見かける。残念だが、そのBCPは徒労に終わるしかない。同じように、ビジネスインパクト分析を一人でコツコツ行っても絵にかいた餅にしかならない。BIAの成否は、組織のトップがこの分析の目的を理解し、実施に賛同し、サポートしてくれるかどうかにかかっている。効果的なBIAの取り組みには、主要な内外の関係者すべてが関わる必要があるからだ。