■名前は聞いたことはあるけれど…
あるインシデントが起こって業務プロセス全体が停止し、復旧のプライオリティを決めようとすると、次の2つの考え方が拮抗することになる。
一つは「何はともあれ被害の最も大きなエリアの復旧を急ぐべき」という被災現場最優先の復旧である。もう一つは「顧客や取引先への影響を最小限にとどめるために必要な業務の復旧を急ぐべき」というお客様本位の復旧である。
一般的に災害に直面した企業の多くは、このどちらかの方針を臨機応変に選択して行動するわけだが、後者の復旧に関しては、あらかじめ「どの業務がどのくらいの期間止まると顧客や取引先にどんな影響が及ぶか?」がわかっていないと実行するのが難しい。
物理的な被害の大きさはともかく、このような利害関係者への影響を考慮して「どの業務を先に立ち上げ、どの業務の復旧は後回しでよいか」を合理的に判断するためのツールが、BCPの策定プロセスには備わっている。それがビジネスインパクト分析(BIA:Business Impact Analysis)である。
BIAは、もともとITシステムの復旧指標を導くために使われていた(どのサーバ、どの業務アプリケーションを先に復旧するか?)。現在でもそれに変わりはないが、東日本大震災をきっかけとしてBCPがかなり防災寄りになってくると、ITに依存しない業務にまで解釈が拡大してしまったようである。例えば介護事業BCPの場合、食事介助、身体介助、入浴介助…これらのどの業務を優先するかといったことである。
一般業務にBIAを適用すること自体は、重要業務の優先順位を可視化するという意味で望ましいことではある。がしかし、こうした優先順位というのは経験豊かな現場スタッフや管理者の頭の中に根付いており、わざわざBIAを実行するまでもないと考えられているのが現実だ。
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