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2023年11月30日から13日まで「第28回気候変動枠組条約締約国会議( COP28:Conference of the Parties 28)」が、アラブ首長国連邦(UAE:United Arab Emirates ) のドバイで開催され、国連気候変動枠組条約に加盟する約200カ国・地域が参加しました。COPで議論された概要と課題について解説いたします。

(1) COP28の概要

COP28の中心となる議題は、3つあります。すなわち、①グローバル・ストックテイク(GST:Global Stoctake)の実施、②損失と損害の基金運用、③化石燃料の段階的廃止です。

1つめのグローバル・ストックテイク(GST)の実施は、2015年のパリ協定で規定された「グローバル・ストックテイク(GST)」の第1回目の実施年です。これは、世界全体の削減の進捗状況をレビューし、気候変動対策の進捗を5年ごとに評価するしくみで、各国が削減目標を決める際の基準となるものです。

具体的には、2021年のCOP26と2022年のCOP27で改めて確認されたのが、世界の平均気温上昇を産業革命前より1.5℃に抑えるというパリ協定の目標達成です。しかし、現状では、各国の温室効果ガス排出量の排出目標を達成しても、1.5℃に抑えるどころか2℃未満に抑えることさえ難しいと想定されています。そのため、各国の温室効果ガス排出量削減の目標をさらに引き上げざるを得ない状況となっています。

2つめの損失と損害の基金運用とは、COP27で決定した「損失と損害の基金」の運用のことです。すなわち、どの国が資金の支援対象になり、どの国が資金を提供するのかといった内容です。

そして3つめの化石燃料の段階的廃止とは、化石燃料の段階的な廃止をどのように実行するかです。これに対しては、支持する国は多いが、反対する国も一部あり、そのためCOP27では、「段階的な削減」と弱めた表現にとどまった経緯があります。