社員の退職が多い状況では、退職した社員が自社で知ったノウハウなどの無形資産を流出させ、悪用することを防ぐことは、必須のリスク対策である。そのため、秘密保持契約や競争避止義務条項を雇用契約で結ぶことが、その一つの手段として活用されている。

しかし、この条項に対しては、反競争的であるとの考え方から、禁止する動きも出ている。労働移動を阻害する要因となりかねないとの考え方である。実際、すでにカリフォルニア州は競争避止義務条項を禁止しており、米国公正取引委員会も禁止の方向で議論しているという。とはいえ、企業が具体的に得たノウハウを企業秘密として明確にし、合理的な手段を用いて保護することは認めようとしている。

こうした流れは、企業が競争上での優位性の源泉となる企業秘密を体系的・組織的に保護することの必要性をさらに高める。ベストプラクティスから学び、保護を強化することが求められる。