「事業継続物語」はハッピーエンドがいい!?
第2回:想定の範囲内なら何とかなるかもBCP
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
2023/09/26
ざんねんなBCPあるある―原因と対処
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
ざんねんなBCPの「あるある」が発生する原因と対処を考える本連載。第1章は「リソース制約と事業継続戦略の検討・見直し」のなかに潜む「あるある」について論じます。前回は序章として、地震用BCPについてよく聞く不安と、それに対する筆者の考えを述べました。今回は「想定の範囲内ならなんとかなるかも」というBCPの「あるある」を取り上げます。
・まわりは壊滅しているのに、当社の被害はなぜか軽微で全員無事
以下は、中堅の製造業で総務部門に所属するBCPご担当者様との会話です。
このやり取りのように、公的な被害想定をそのまま転記して、何の考察もないまま都合よく「事業継続ができるレベルにリソースが残存する」ことにしてしまうのはよく見られる事象です。
リソースが極端に制限されるシビアな状況では「事業継続ができない」ことがうすうすわかっているにもかかわらず「事業継続ができる」という物語を書こうとする(書かなければならない)からですが、このような事象が起こる原因は、突き詰めてみると二つあると考えます。
一つは「事業継続」という物語の読者がハッピーエンドを求めていること。「事業継続」という物語の読者が、ハッピーエンドな「事業継続計画書」という書物を手に入れることで、我が社は大丈夫だという安心感を手軽に得て、取引先からのBCP策定の要求にもサッと応えてしまおうという意識が働いてしまうからでしょう。
御社の「事業継続計画書」の読者や、役員会と称した会議に集まってくる読者集団には、こんな特徴はありませんか。
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