2023/09/20
防災・危機管理ニュース
企業ガバナンスのコンサルティングを手掛けるHRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長CEO内ヶ﨑茂氏)は9月19日、主要企業の8割がシナリオ分析の実施を開示し、約半分が、取引先などを含めた二酸化炭素(CO2)の排出量を示す「スコープ3」を有価証券報告書で開示したことなどが同社調査で明らかになったと発表した。
調査は、TOPIX100 の構成企業のうち、2023 年3月31日以降の事業年度に該当する有報を調査時点で発行する企業81社を対象に、有報改正に伴う新規記載事項である「サステナビリティ」「人的資本」「コーポレート・ガバナンス(取締役会の活動状況、内部監査等)」の開示情報を分析した。
シナリオ分析やスコープ3の開示状況は、「サステナビリティ」の調査項目に盛り込まれた。それによると、気候変動に対する取組みとして、「シナリオ分析」を実施している旨の開示は 80.2%の企業でみられた(図表1)。シナリオ分析の実施を開示している企業のうち、気温上昇 1.5 度を想定してシナリオ分析を実施している旨の開示を行っている企業は 60.0%にのぼった。一方、財務インパクトを具体的な数字を用いて開示している企業は 17.2%にとどまった。シナリオ分析を実施している企業と比較して、財務インパクトを具体的な数字を用いて開示している企業は少数にとどまっている。

また、温室効果ガス(GHG)排出量の開示では、Scope3 について実績値、目標値のいずれかを開示する企業は 53.1%に達した(図表2)。ただし、実績値、目標値の両方を開示する企業は 19.8%にとどまるほか、GHG 排出量について Scope1,2,3 いずれかの実績値を開示する企業 51 社のうち、第三者保証に言及する割合は 25.5%にとどまったという。

こうしたサスティナビリティや気候変動への対応が取締役会でどの程度話し合われているかも本調査から明らかになった。
「コーポレート・ガバナンス(取締役会の活動状況、内部監査等)」の項目では、取締役会での 具体的な検討内容 について調べた結果 「 サステナビリティ 」について記載していた企業は45.7%と半数近くにのぼったものの、「気候変動」については7.4%にとどまった。

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方