企業向けにグリーン電力の売電事業を行うアイ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区、秋田智一社長)は、気象災害の激甚化からレジリエンス対策のニーズが高まるとみて、防災・BCP面の訴求を強める。エネルギーリスクと独立電源に対する意識を調べるため、全国の経営者にアンケート調査を行った。

調査は7月6日~13日、個人事業主を含む20代~60代の経営者約1600人を対象にインターネットで実施。472人から有効回答を得た。回答者の事業規模は従業員数1人~1000人と幅広く、業種もさまざま。過半数にあたる55%が、過去に停電などのトラブルをともなう災害を経験していた。

また、33%の経営者がBCPを策定済みで、38%が非常用電源を確保済み。一方で非常用電源を確保する目的については、経営者472人の47%が回答した「地域貢献」がトップ、以下「BCP対策」(41%)「脱炭素」(25%)「企業イメージの向上」(23%)「ESG経営」(19%)と続き、事業継続と並んで社会貢献意識の高さを反映した。

●災害時における経営者のエネルギーリスク意識調査(抜粋)

画像を拡大  データ出所:アイ・グリッド・ソリューションズ

加えて、非常用電源の確保が地域の備えになることについて、6割近い58%の経営者が「知っている」と回答。地域へのエネルギー供給についても、同じく6割の59%が「(災害時に)貢献したい」と答えた。

●災害時における経営者のエネルギーリスク意識調査(抜粋)

画像を拡大  データ出所:アイ・グリッド・ソリューションズ

この結果を同社は「実際にBCPを策定したり非常用電源を確保したりしている経営者は3割程度だが、非常時に地域へエネルギーを供給したいと考えている経営者は6割にのぼる。自社の事業継続と同等かそれ以上に、地域社会への貢献を強く意識している」(マーケティング部広報・経営企画室渡辺直子氏)とみる。

屋根上でつくった電気を施設所有者に売電

アイ・グリッド・ソリューションズは、再生可能エネルギービジネスの創造を目指して2004年に設立したスタートアップ企業。企業の脱炭素化を支援するGXソリューション事業とグリーン電力の小売事業を主軸に、約10年で年間売上約230億円の規模に成長した。

注目を集めているのが「オンサイトPPA」と呼ばれるビジネスモデル。商業施設などの屋根上に太陽光発電パネルを設置し、つくった電気を割安に施設所有者へ売電する。設備投資はすべて同社が行うため、施設所有者は費用負担がなく、系統電力料金との差額が収益に。同社は20年契約の売電収入によって設備投資を回収する。

2017年から開始したこのモデルが、CO2削減対策の実効的・具体的な提案としてESG経営に取り組む企業に訴求。パネルを屋根上に載せるため自然への影響が少ないこと、FIT制度を使わず自己完結型で事業が成り立つことも評価され、2023年6月末時点で全国611施設、トータル発電容量134MWまで実績を伸ばしてきている。

●「オンサイトPPAモデル」の2022年度実績

画像を拡大  データ出所:アイ・グリッド・ソリューションズ