経産省の支援事業の概要明らかに

経済産業省が補正予算に計上した「事業継続等の新たなマネジメントシステム規格とその活用等による事業競争力強化モデル事業」の概要が明らかになった。事業継続(BCP)やエネルギー管理への継続的な取り組みにより、事業競争力・組織力・ブランド力を高めることが期待される地域、業界、サプライチェーン等のグル―プをモデル的に複数公募・選定し、事業継続マネジメントシステム(ISO22301)やエネルギーマネジメントシステム(ISO50001)等に基づいた、事業継続やエネルギー管理のための計画策定や演習の実施など、各グループ内での取り組みを全面的に支援する。

年度内に、グループの取りまとめができる企業(コンサルティング会社等)を選定・委託し、その企業がグループ内協力のための協議会開催や運営などを行う。さらに、モデルケースの全国的な普及を図るため、各グループの取り組みの中から成功につながった共通の要素や仕組みを抽出して、事業継続の能力評価指標の設計・共通化等も併せて行うとしている。

主な支援内容は下記の通り。

1、グループ内協力のための協議会等開催・運営(事務局の要員等)
2、計画等策定のための外部コンサルティング
3、認証取得のための活動
4、リスク対応、エネルギー総量等把握のための設備・装置(リース等)
5、被害想定シナリオを基にしたグループ演習の実施
6、事業継続能力評価指標の設計・共通化・普及のための調査・分析
7、取り組みを通じて得た成果等の広報宣伝(セミナー開催等)など

■モデル事業の類型

モデル事業の主な類型は、①地域単位、②サプライチェーン単位、③業界単位、④自治体単位を想定する。

①地域単位の取り組みは、工業団地等、地域全体での取り組みを通じて、当地の立地競争力の強化につなげる。②サプライチェーン単位の取り組みは、強靭かつ効率的なサプライチェーンを有する製品、企業群としての評価を高める。③業界単位の取り組みは、同業他社等との協力体制を構築することで、業界全体としての結束力や取引先の評価を高める。④自治体単位の取り組みは、リスク対応・エネルギー管理に優れた地域等として、地域ブランドの強化につなげる。

例として、サプライチェーンの取り組みでは、tier1(一次下請け)からtier3程度まで約100社程度の規模を挙げる。地域単位、自治体単位の取り組みでは、工業地帯であれば、例えば臨海部の工業団地と他地域の工業団地で、連携・協力を促し、相互支援の関係を構築するケース、商業地域では、都市部のインテリジェントビルと自治体、あるいは公益事業者や入居企業が連携・協力し、代替拠点などによる事業継続をそれぞれ例示する。

■事業継続能力評価指標

事業継続能力評価指標の設計・共通化の例としては、各業種で実施されている評価の分析等を通じ、サプライチェーンの強化が特に必要なものづくり企業等の特徴別に分類の上、評価指標(項目)を作成することを挙げる。分類例・評価例は下記の通り。

【分類の例】
・部品点数の多い企業
・製品認証による制約を有する企業
・熟練技術を要する企業
・精密設備を要する企業
・大規模な設備を要する企業
・市場シェアの大きな企業 等

【評価項目の例】
・業務影響分析と継続すべき優先業務の抽出
・マネジメントシステムの体制構築・運用(人材、設備、指揮命令系統、PDCAサイクルの構築・実施状況等)
・重要取引先の把握(製品供給に必要な部素材の把握)
・緊急時のステークホルダーとの連絡体制
・非常時の供給能力 等

同事業には、1月15日に閣議決定した補正予算で5億円が計上された。ISO22301と50001の2つのマネジメントシステムに関する事業ではあるが「単純に(22301と50001を)半分ずつというのではない。公募した上で、複数モデルを決定する」(経済産業省認証課)としている。