7月豪雨で被災した中小企業がすべきこと
災害対応の手順と留意点
中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
2018/07/10
危機管理の要諦
中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
西日本を中心とした豪雨災害により、企業にも大きな影響が出ている。洪水や土砂崩れにより施設そのものが被災してしまった企業も少なくないだろう。被災した企業は今後どのように復旧を行えばいいのか。中小企業の災害対応の主な流れと留意点をまとめてみた。
災害が発生した場合、企業では、直後の行動として、社員の安全確保、緊急避難、被害拡大防止の緊急措置、安否確認、救助救出といった、いわゆる初動対応が必要になる。その後、対策本部を設置して、復旧作業を行うことになるが、その際、重要になるのが復旧方針を決め全従業員に周知することだ。事業の早期再開に当たっては経営者の決断と実行のスピードが大きな意味を持つ。とりわけ、経営者が従業員に対して事業再開の具体的な目標を宣言することは、全社や協力機関の意識を高める上で大きな意味を持つ。ただし、二次災害の防止や周辺地域への影響を忘れてはならない。
2011年の東日本大震災で、津波による壊滅的な被害を受けながらも1週間後から活動を再開し、早期に復旧を果たしたリサイクル廃油業者のオイルプラントナトリ(宮城県名取市)は、自社工場が使えない中、創業の地でもある空き民家に本社機能を移し、被災後に復旧方針を以下のように決めた。
1.二次災害の防止
2.社会的要請
3.社員の生活の確保
同社では、まず、自社が二次災害を引き起こさないように、地域に流れ出たタンク類の回収に取り組むことを活動の最優先に掲げ、さらに、当時、陸に打ち上げられた船からのオイルの回収などが社会的な安全を確保する上で急務となったことから、自治体などから要請を受けた場合、それらを優先的に行うことを決定した。その上で、社員の生活の確保のため、自社の事業の回復を掲げた。
この方針に基づき、以下のような復旧プログラムを策定している。
・被害状況の検証
・施設、設備関係業者への応援要請
・復旧にかかる見積もり作成依頼
・部品調達の必要なもののリストアップ
・部品調達の容易性のチェック
・部品調達困難物への対処策検討
・タイムスケジュールの策定
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