2012/09/24
防災・危機管理ニュース
停電対策も考慮 藤沢市が取得
藤沢市は、事業継続の上で不可欠なITシステムの準備態勢に関する国際標準規格「ISO/IEC27031」 に基づく認証を、3月22日付で取得した。対象範囲は、同市総務部IT推進課で管理しているICTサービス。民間、自治体を含め全国初となる。
ISO27031は、ICT継続マネジメントシステムについて、英国規格協会(BSI)が2009年に発行した「BS25777」を基に開発されたガイドライン。今回の認証は、BSIグループジャパンが、ISO27031の指針を要求事項に読み替え、独自の認証サービスとしたもの。同社では、昨年からBS25777の認証サービスも提供している。
BS25777の要求事項が326項目に対して、ISO27031は338項目。藤沢市ではすでに取得しているISO27001認証に加え、2011年3月15日にはBS25777の認証も取得しており、新たに国際規格化に伴って追加された項目と変更項目の差分審査を受けることで、今回の認証取得にいたった。
運用面に重点
ISO27000シリーズは、情報セキュリティの規格群の1つ。そのため「ISO27031は、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の11項目の管理目的の1つである『事業継続管理』に重なる点が多い」と、同市総務部IT推進課長の大高利夫氏は話す。
一方、BS25777とISO27031の大きな違いは、事業継続におけるITの位置づけだ。ISO27031の中には「IT-BCP」という表現はなく、代わりとして「IRBC(ICT Readiness for business continuity):事業継続のための情報通信技術の準備態勢」という言葉が使われている。つまり、BCPの活動の1つにIT継続があるのではなく、業務継続を下支えする必要不可欠なものとしてITをとらえている。
さらに、ISO27031では、運用面に重点を置いている。自家発電機による電源の2重化などハード対策だけでなく、有効性の評価やチェックシートなどの書類作成、シミュレーション、訓練など、日ごろから事業を妨げる事象に対して態勢が整っているのか、日常の活動や具体的な運用方法が大きな評価基準となっている。
計画停電にも迅速に対応
藤沢市では、昨年の東日本大震災に伴う計画停電で、自家発電装置に切り替わらずサーバ150台が一時的にシャットダウンする事態が発生した。しかし、こうした事態に備え、マニュアルを整備して訓練をしていたことから、短時間で再起動することができたという。「今後は、東日本大震災での多くの経験を教訓とし、よりITの事業継続力を高めていきたい」と大高氏は話している。
- keyword
- ITセキュリティ
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方