停電対策も考慮 藤沢市が取得
藤沢市は、事業継続の上で不可欠なITシステムの準備態勢に関する国際標準規格「ISO/IEC27031」 に基づく認証を、3月22日付で取得した。対象範囲は、同市総務部IT推進課で管理しているICTサービス。民間、自治体を含め全国初となる。

ISO27031は、ICT継続マネジメントシステムについて、英国規格協会(BSI)が2009年に発行した「BS25777」を基に開発されたガイドライン。今回の認証は、BSIグループジャパンが、ISO27031の指針を要求事項に読み替え、独自の認証サービスとしたもの。同社では、昨年からBS25777の認証サービスも提供している。

BS25777の要求事項が326項目に対して、ISO27031は338項目。藤沢市ではすでに取得しているISO27001認証に加え、2011年3月15日にはBS25777の認証も取得しており、新たに国際規格化に伴って追加された項目と変更項目の差分審査を受けることで、今回の認証取得にいたった。

運用面に重点
ISO27000シリーズは、情報セキュリティの規格群の1つ。そのため「ISO27031は、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の11項目の管理目的の1つである『事業継続管理』に重なる点が多い」と、同市総務部IT推進課長の大高利夫氏は話す。

一方、BS25777とISO27031の大きな違いは、事業継続におけるITの位置づけだ。ISO27031の中には「IT-BCP」という表現はなく、代わりとして「IRBC(ICT Readiness for business continuity):事業継続のための情報通信技術の準備態勢」という言葉が使われている。つまり、BCPの活動の1つにIT継続があるのではなく、業務継続を下支えする必要不可欠なものとしてITをとらえている。

さらに、ISO27031では、運用面に重点を置いている。自家発電機による電源の2重化などハード対策だけでなく、有効性の評価やチェックシートなどの書類作成、シミュレーション、訓練など、日ごろから事業を妨げる事象に対して態勢が整っているのか、日常の活動や具体的な運用方法が大きな評価基準となっている。

計画停電にも迅速に対応
藤沢市では、昨年の東日本大震災に伴う計画停電で、自家発電装置に切り替わらずサーバ150台が一時的にシャットダウンする事態が発生した。しかし、こうした事態に備え、マニュアルを整備して訓練をしていたことから、短時間で再起動することができたという。「今後は、東日本大震災での多くの経験を教訓とし、よりITの事業継続力を高めていきたい」と大高氏は話している。