2022/11/28
オピニオン
12月は厚生労働省が定めたハラスメント撲滅月間だ。年末の業務繁忙や忘年会などでハラスメントが発生しやすくなることが懸念され指定されたようだ。折しも、今年は、4月1日から中小企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置が義務化された。ハラスメント対策の実態はどうなっているのか?
34.8%がハラスメントを経験
経営・組織コンサルティングや従業員向け研修を展開する株式会社識学が、10月に全国の従業員数10名以上の企業に勤める20歳~49歳の男女を対象に実施したアンケート調査結果によると、何らかのハラスメントを受けたことがあると回答したのは34.8%で、その内最も多かった事例は「パワハラ」の71.0%であることが分かった。またハラスメントを受けた際、会社に報告したと回答したのは36.0%で、報告しなかった理由は「報告しても変わらないと思ったため」が59.4%という結果になったという。会社へ報告したと回答したという人でも、「(会社は)何もしてくれなかった」が47.2%に上った。アンケートは、2022年10月24日(月)に行われたもので有効回答は300サンプル(スクリーニング:2204サンプル)。
アンケートではまず、職場でハラスメントを受けたことがあるか聞いたところ、34.8%の方がなんらかのハラスメントを受けたことがあると回答した。男女別でみると男性が34.2%、女性が35.6%、ハラスメントを受けたと回答し、性別での違いはあまり見られなかった。しかし年代別で見ると、20代が32.3%、30代が34.0%、40代が37.8%と、年齢を重ねることで、ややハラスメントを受けたことがある方が多くなる傾向が見られたという。これは、年齢を重ねることでハラスメントに遭遇する機会が増えたからとも言えるが、ハラスメントの意識は以前よりかなり高くなっていると同社は分析している。
次に、ハラスメントを受けたことがあると回答した人に、どのような内容だったのか聞いてみると、最も多かったのは「パワーハラスメント」71.0%で、「モラルハラスメント」43.0%、「セクシャルハラスメント」21.0%と続いた。男女別でみると、1位「パワハラ」、2位「モラハラ」という順位に変化はなかったが、全体3位だった「セクハラ」は男性が5.9%だったのに対し、女性は36.5%とかなり大きな差が出た。また「アルハラ」でも、男性が23.0%、女性が5.4%と男女で大きな違いが見られた。
ハラスメントが起きた際、会社に報告したか聞いたところ、報告したと回答したのは36.0%で、残りの64.0%が報告しなかったと回答した。続いて、「報告しなかった」と回答した方に、なぜ会社に報告しなかったのか、その理由を聞いたところ、「報告しても変わらないと思ったため」が59.4%で、2位の「報告することによってさらに被害がひどくなることを恐れたため」35.9%と、大きな差が出た。さらに、「報告した」と回答した方に、会社はどのような対応をしたのか聞いてみると、「何もしてくれなかった」が最も多く47.2%という結果になったという。
●女性社員に対して、お茶出しや、使用済みの食器洗いを強いられている。(女性、44歳)
●「お前しかその仕事をこなせる奴はいないから頑張ってくれ」と次々に仕事を振られるが、周りのみんなは定時で帰宅するなどの不公平な対応を受けた。(男性、40歳)
●妻子ある上司に告白され断った後、仕事を振らないなどの嫌がらせを受けた。(41歳、女性)
●行きたくもない部内の飲み会で「3年目までは二次会出ないといけない」と言われ、参加しなければならなかった。(女性、29歳)
●妊娠に伴い退職を打診したら男が辞めるのか、と言われた。(男性、42歳)
なぜハラスメントが起きてしまうのか、その原因についても質問。最も多かった回答は「ハラスメントに関する知識・認識がないから」40.3%で、「感情的な会話や発言が多いから」が35.7%、「ハラスメントを防止するためのルールが明確でないから」が33.3%と続いた。
ではハラスメントをなくすために、会社側は何をすべきか?その対策方法を聞いたところ、「ハラスメントをする人物に対しての対処方針の策定・啓発」が58.0%、「ハラスメントの周知と啓発」が48.7%、「ハラスメントを防止するためのルールの設定」が43.7%と続いた。
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