■地図を見ても迷う今日この頃
「おかしいな。この道でいいはずなんだが」。自分だけの山をエンジョイしようと目論んで一人でやってきたハルトでしたが、どうも進路がはっきりしません。
目指すはQ山。「Q山は右、奥多摩湖は左」と書いてある分岐の道標を見て、指示通りに右のルートをたどってみたのですが、すぐに車がビュンビュン飛ばす車道に出てしまい、そこから先はガードレールに阻まれて登山道らしきものは見当たりません。登山地図を見る限り、Q山へはこの車道とほぼ並行して付けられた登山道を進むように描いてあるのですが…。
キツネにつままれたような気持ちであっちをウロウロこっちをウロウロ。分岐点まで戻っては奥多摩湖方面のコースにも少し足を踏み入れてみて、やっぱりおかしいと感じて引き返す。気が付けば1時間以上の時間ロスです。とうとう彼は戦意喪失して登山を断念し、少し腹立たしい気持ちで最寄りのバス停のある方へ早々と下山してしまったのでした。
今回の道迷いのことが気になった彼は、自宅に戻るやいなや、もう一度このルートを確認してみました。登山地図とにらめっこし、ネットの登山情報サイトを検索して同じコースをたどったことのあるユーザーの投稿記事(登山記録)などを丹念に調べてみました。
すると「そのままガードレールを乗り越え、車道をしばらく歩いて行くとQ山への登山口に至る」というのが正しいと分かりました。「なんだ、あの危険な車道を歩くしかなかったんだな…」
■自分に道迷い防止のルールを課す
この事例は、数え切れないほどある道迷いパターンのほんの一つにすぎません。今回は登山地図の記載がわずかに正確さを欠いていたのと、ハルトの地図の見方があまり柔軟でなかったことが原因のようです。
それにしても「道迷い」はやっかいなシロモノ。こうすれば道迷いは避けられるという決定的なリスク回避方法が見当たらないのです。かといってこれを放置していたら、これからも道迷いの危険と背中合わせで山に登ることになってしまいます。
さてどうしたものかと思案した彼は、次のようにいくつかのシーンを想定し、自分なりに道迷い防止のルールを課そうと思い立ちました。
まず基本として「この道で大丈夫かな?」と思ったら、すかさず登山地図に相談する。地図はすぐに取り出せるようにサコッシュに入れるか折りたたんで胸ポケットに収納しておく。しかし「この道で大丈夫かな?」と疑った時点で、すでに変な道に入り込んでいることもある。そこで手遅れにならないように、「コースタイムを意識し、分岐や目印のあるポイントでは必ず地図で確認する」とルールを改めました。要所要所で常に現在位置とかかった時間を把握しておこうというねらいです。
しかし時として、今回のように地図を見ているのに正しいコースが分からないことも起こり得ます。そのため、自分のいるところがあいまいでどうにも判断に迷う場合は、いさぎよく「記憶の確かな場所まで戻る」、絶対にそのまま進んではいけないと、彼は心に決めました。
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