BCMの専門家や実務者による非営利団体BCI(注1)は、緊急事態におけるコミュニケーションに関する実態調査の2022年版「Emergency and Crisis Communications Report 2022」を2022年2月23日に発表した。
BCIはこれまでも同様の報告書を毎年発表しており(注2)、昨年までは「Emergency Communications Report」というタイトルであったが、今年からタイトルに「and Crisis」が追加されている(注3)。
本報告書は下記URLから無償でダウンロードできる。ただしBCI会員でない場合は、BCIのWebサイトにユーザー登録(無料)を行う必要がある(注4)。
https://www.thebci.org/resource/bci-emergency-and-crisis-communications-report-2022.html
(PDF 76 ページ/約 7.1 MB)
本報告書は次の8つのセクションから構成されている。
1) The tools of the trade (商売道具)
2) Response and timing (反応時間とタイミング)
3) Key challenges (主要な問題)
4) Requirements in support tools (支援ツールに対する要求事項)
5) Training and exercising (訓練と演習)
6) The Internet of Things (IoT) (モノのインターネット)
7) Information and data acquisition (情報やデータの取得)
8) Communicating with stakeholders (ステークホルダーとのコミュニケーション)
最初のセクションには緊急事態におけるコミュニケーションに使用されるデバイスやソフトウェアに関する調査結果がまとめられている。使用されているデバイスの状況は前回調査とあまり変わらないので、2021年版の紹介記事(本連載の第134回)をご参照いただければと思う。前回からの違いは微差ながら携帯電話がトップになったことと、衛星携帯電話の利用が若干増えた程度である。
図1は緊急事態におけるコミュニケーションに使用されるデバイスやソフトウェアが、どのような領域で役に立つかを尋ねた結果である(複数回答)。最も多いのは「大人数に対して短時間で警告したり動員をかけたりできる(Alerting and Mobilising a high number of people very fast)」で71.5%となっている。
本連載では過去の記事で何度か指摘させていただいているが、日本で「安否確認システム」として普及しているシステムとほぼ同様の機能を持つ製品が、諸外国では「Emergency Notification System」あるいは「Mass Notification System」として提供されており、緊急性の高い情報を多くの関係者に伝えることを主目的として導入されている(安否確認に使える機能も備わっていることが多い)。これはどちらが良いとか正しいとかという話ではなく、文化の違いとでも言うべきものであろう。
3位に「チームにおけるコミュニケーションを可能にする(Enable communication in teams)」が入っているのも興味深い。何からの緊急事態が発生した直後に、対策本部メンバーなど特定のチームで迅速に連絡を取り合うような場面が想定されていると思われる。
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方