前回の記事では、大雪によって交通障害の発生が見込まれるときに発表される大雪警報などを取り上げました。今回の記事では警報の発表基準を大きく上まわるような降雪の時に追加的に出される情報や、リアルタイムの降雪量予測の見方を紹介します。また、ライブカメラで雪道の様子を確認する時に押さえておきたいポイントも取り上げます。
前編で取り上げた情報(
https://www.risktaisaku.com/articles/-/62643)
(1)早期天候情報
(2)早期注意情報(警報級の可能性)
(3)大雪に関する気象情報
(4)大雪に対する緊急発表
(5)大雪注意報や大雪警報
後編で紹介する情報
(6)大雪に対する一層の警戒を呼びかける情報
(7)顕著な大雪に関する気象情報
(8)大雪特別警報
(9)リアルタイム情報としての「今後の雪」
(10)ライブカメラで確認したいこと
(6)大雪に対する一層の警戒を呼びかける情報
大雪警報が発表されるような事態の中でも警報基準を大きく超えるような降雪が見込まれる時は要注意です。大雪警報の基準は過去に地域で交通障害が発生したところに置かれているため、警報基準を大幅に上回る場合には交通等への影響も甚大なものになる可能性が高まるからです。
気象庁は警報基準を超える大雪が見込まれる時には、「大雪に対する一層の警戒を呼びかける情報」を発表します。東京など雪がもともと少ない地域では大雪警報の基準程度の降雪であっても影響が大きくなる可能性があるためこの情報が発表されることもあります。
「大雪に対する一層の警戒を呼びかける情報」は極めて重要な情報ではあるのですが、発表状況が分かりづらいという欠点があります。例えば下図は2021年の12月末に滋賀県で実際に発表された例ですが、情報のタイトルは「大雪と突風及び落雷に関する滋賀県気象情報 第7号」であり、「大雪に対する一層の警戒を呼びかける情報」とは明記されていません。
ではなぜこの例が「大雪に対する一層の警戒を呼びかける情報」と言えるかというと、本文の中で「一層警戒してください」や「警報基準を大幅に超える降雪量」「重大な交通障害」「不要不急の外出を控える」等の表現が使われているからです。こうした言い回しや過去の豪雪事例などがメッセージの中で使われたらそれは「大雪に対する一層の警戒を呼びかける情報」です。そのようなときには深刻な影響が発生するかもしれないと受け止めるようにしましょう。
▼気象情報(気象庁)
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#5/34.5/137/&contents=information&element=information
※都道府県を選択して確認してください
(7)顕著な大雪に関する気象情報
短い時間に大量の雪が降れば道路の除雪作業なども追いつきません。その結果、通行止めや立ち往生、集落の孤立等が発生・拡大してしまう可能性が高まります。これまでの雪やこの先見込まれる雪の降り方が無災害で終わるようなレベルではないときに出される情報が「顕著な大雪に関する気象情報」です。
「顕著な大雪に関する気象情報」は、最近では2021年12月26日に鳥取地方気象台が発表しました(下図参照)。
この情報の中で伝えられたのは、
・どこでどの程度の雪が観測されたのか(智頭で6時間に43センチ)
・いつ頃まで降り続くのか(27日朝にかけて)
・どこでどういった影響が見込まれるのか(八頭地区と倉吉地区で深刻な交通障害の発生するおそれ)
の3点です。
この内容だけで危機感を高めることは難しいかもしれませんが、「顕著な大雪に関する気象情報」が出るような時は近年まれに見る事態が進行中であり、この先影響が拡大する可能性があると重く受け止めるようにしてください。なお、顕著な大雪に関する気象情報は気象庁の「気象情報」で発表の有無が確認できます。
▼気象情報(気象庁)
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#5/34.5/137/&contents=information&element=information
※都道府県を選択して確認してください
なお、「顕著な大雪に関する気象情報」の発表対象は日本海側から流れ込む雪雲の影響を受ける地域に限られており、太平洋側の大雪は対象外です。対象の府県や地域ごとの発表基準は下図で確認しておいてください。
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