大雪によって高速道路や主要道路が通行止めとなるときには企業活動などに様々な影響が生じます。そうした大雪が見込まれる際には、どのような情報がいつ頃提供されるのでしょうか? 今回と次回の記事では大雪に関する情報を10個取り上げ、それぞれダイジェスト的にまとめて紹介します。
大雪に関して気象庁が提供する情報の全体像
まずは雪に関する情報の全体像を頭に入れておきましょう。大雪の恐れがある時には、気象庁は次の図のようなタイミングで各種情報を発表するとしています。
図は一見複雑かもしれませんが、大雪となる前に出される情報と、大雪となり始めてから追加的に出される情報に大別できます。今回の記事では事前の情報を取り上げ、次回の記事で追加の情報やリアルタイムの状況を確認できるツールをカバーしていきます。
大雪警報は交通障害のバロメーター
各情報の意味や使い方を見る前に一つ押さえておくと良いことは、大雪警報の基準がどのような災害をターゲットとして設定されているかについてです。
雪による被害と一言で言っても、雪崩による事故や除雪中の事故、鉄道の運休や道路の通行止めなどの交通障害、雪の重みによる建物などの倒壊、着雪による電力網への影響、集落の孤立等と様々です。これらのうち大雪警報やその前段階の大雪注意報が特に焦点を当てているものは雪による交通への障害です。
大雪警報の基準は、その地方の鉄道や道路などに大きな影響を与えたことがある降雪量(降雪の深さ、単位はセンチ)を参考として設定されています。
大雪警報の基準については地域差があり、元々雪の少ない地域では小さな値に、多雪地帯では比較的大きな値となります。例えば東京都千代田区の場合、大雪警報の基準は12時間で10センチの降雪量ですが、豪雪地にあたる青森県青森市の山間部の場合では12時間で50センチの降雪量が発表基準となります。
基準が異なっている理由は、雪に対する社会の適応状況が地域によって違うためです。東京ではわずかな雪でも交通網に大きな影響が出ますが、同じ量の降雪が雪に慣れた地域で観測されてもほとんど影響はないことでしょう。このように考えると、大雪警報の基準は雪に対する地域の弱さを数字で示しているとも言えます。
そこでお勧めしたいのが、自分の地方では大雪警報の値が何センチになっているかをあらかじめ確認しておくことです。そのことを知っておくと、大体何センチの降雪量で交通の混乱が発生しかねないかについて数字で理解できます。また、各種情報の中では降雪量の見込みが伝えられますので、警報基準を大きく超えそうな大雪となりそうかなども自分で分かるようになることでしょう。市町村ごとの基準値は気象庁のホームページで簡単に調べることができます。
▼警報・注意報発表基準一覧表(気象庁)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kijun/index.html
大雪警報は地域で交通障害が発生する見込みを示すバロメーターです。警報が出る程度の大雪になりそうだと示す情報や大雪警報が実際に発表された時には、その地域で交通障害が発生しそうだと理解するようにしましょう。
ではここからは、大雪の可能性が出てきた段階から大雪警報が出る段階までの情報を5つ見ていきます。
(1)早期天候情報
一定程度の精度を保ちながら天気を予測できる限界は、概ね1週間先までの事象であることが知られています。このため大雪がいつ・どこで・どの程度見込まれるかは1週間以内に入ってきてからはっきりとしてくるのですが、14日前から6日前というかなり早い段階でも大雪への警戒を呼びかける情報が出されることがあります。それが早期天候情報です。
早期天候情報は冬季の日本海側対象の情報であり、その時期として10年に1度程度しか起きないような著しい降雪量となる可能性がいつもより高まっているときに発表されます。この情報が発表されたときには大雪のフラグが立ったものと受け止めるようにしましょう。
▼早期天候情報(気象庁。毎週月曜日と木曜日に更新)
https://www.data.jma.go.jp/cpd/souten/?reg_no=0&elem=snow
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