2018/05/22
防災・危機管理ニュース

内閣官房は21日、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」の第42回会合を開催。今年末に予定されている次期国土強靭化基本計画の決定に向け、脆弱性評価の指針や「国土強靭化アクションプラン2018」の素案も示された。脆弱性評価とアクションプラン2018は近く政府の国土強靭化推進本部で決定の見込み。
脆弱性評価の指針では8つの「事前に備えるべき目標」とそれを妨げる45の「起きてはならない最悪の事態」を設定。8つの目標は(1)直接死を最大限防ぐ(2)救急や医療の迅速化と被災者の健康や避難生活環境の確保(3)行政機能確保(4)情報通信機能・サービスの確保(5)経済活動を機能不全にしない(6)ライフラインや燃料供給関連施設、交通ネットワークなどの被害最小限化と早期復旧(7)制御不能な複合災害・二次災害を発生させない(8)社会・経済の迅速かつ従前より強靭な姿で復興できる条件整備―を設定。
45の起きてはいけない最悪の事態は建物の大規模倒壊による多数の死傷者の発生や、食料等の安定供給の停滞といったものが想定されている。この事態を生む要因を、フローチャートを用いて分析。広く悪影響をもたらすものの解決に必要なものを「戦略的政策課題」として抽出。7月の次回懇談会でこの課題の検討を行う。
アクションプランは5カ年計画である国土強靭化基本計画の推進へ、毎年策定されるもの。取り組むべき具体的な個別施策などを示している。「2018」の素案では現計画下での最後ともなるため、特に進捗管理を重視。現計画下での45の起きてはならない最悪の事態のうち、45プログラム中34プログラムにおいて進捗率は8割を超えている。また、重要業績指数(KPI)を設定した115指数のうち31指標で目標を達成。着実な実行を図っていく。
また、国土強靭化地域計画策定ガイドラインの第5版の策定について報告が行われた。地方自治体向けの地域計画策定ガイドであり、今回の改訂で(1)基本編(2)策定・改訂編(3)資料編の3つに分冊。全47都道府県のうち45都道府県が策定済み、沖縄県と福井県が策定中・予定ありに、市区町村では78市区町村が策定済み、50市町村が策定中・予定ありとなっている。進行にばらつきがあることから、分冊化し、自分たちの立ち位置に合わせて選べるようにした。また、取り組み状況がわかりやすいチェックシートや、関係府省庁の交付金・補助金の活用事例も掲載している。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- 内閣官房
- 国土強靭化
- ナショナル・レジリエンス懇談会
- レジリエンス
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方