高齢者の救急対応のほか、施設に対してマニュアル作成を促す

東京都は14日、「救急医療対策協議会」の今年度第1回会合を開催。「地域包括ケアシステムにおける迅速・適切な救急医療について」と題した、主に高齢者の救急医療についての最終報告のとりまとめを行った。救急医療情報キットの準備やかかりつけ医などとの連携強化などの方針を示した。また「高齢者施設における救急対応マニュアル作成のためのガイドライン」もとりまとめた。今後、高齢者施設に救急対応マニュアルの作成を促す。

包括ケアシステムにおける救急医療についての最終報告では、2016年の救急搬送人員のうち65歳以上の高齢者が50.1%の34万6703人を占めており、2007年から約9万8000人増加していることを指摘。高齢者の救急搬送元は2014年の調査で「自宅・外出先など」が約84%で、そのうち在宅療養患者は約5%にとどまっている。高齢者は搬送時に情報把握や意思疎通に時間を要するほか、治療が長期化傾向にあり、さらには在宅療養生活への移行が難しく入院期間が長くなる課題もある。

今後の施策の方向性として、患者情報共有へ医療や介護の連携を強化。かかりつけ医や服薬内容などの情報を専用の容器に入れ、自宅に保管する救急医療情報キットの普及や情報更新などで、活用の改善を行う。消防の救急車の出動が多いことから、かかりつけ医療機関への移動や転院の際の病院救急車や民間救急車の活用を検討する。

高齢者施設での救急対応マニュアル作成ガイドラインでも情報の共有を重視。高齢者施設で日常的に入所者の診断をしているかかりつけ医のほか、家族の緊急連絡先もすぐに取り出せるようにしておく。入所者の病気や薬といった医療に関する情報も適宜更新し、同様にすぐ取り出せるようにする。家族とは万が一の最後の看取り時の対応も話し合っておく。

搬送手段の確認も行うよう指摘。緊急性がある場合は119番通報、ない場合は施設の車両や民間救急車など事前に決めておくことが重要とした。夜間は昼間と比べ対応が手薄になりがちなことから、勤務時間帯ごとの体制と、緊急時の連絡、指揮命令系統を決めるよう記載している。同ガイドラインは今後、都内の高齢者施設に配布される。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介