ドローンのインフラ点検などへの活用を推進したい旨を説明する国交省・鈴木学氏

国土交通省が事務局を務めるインフラメンテナンス国民会議は10日、「『ドローン×インフラメンテナンス』連続セミナー」の第1回を東京都港区の日立製作所で開催。約220人が参加した。国交省など行政や民間企業、研究者などからドローンの災害やインフラ点検への活用について報告が行われた。

冒頭、国交省総合政策局事業総括調整官の鈴木学氏が、インフラメンテナンスでのドローン活用の実用化や普及が進まない現状について、「点検に使うに至ってない自治体と点検で十分使えるとする企業のギャップを共有する必要がある」とし、インフラ点検・診断技術について情報交換を図るというセミナーの目的を述べた。

国交省航空局安全部安全企画課無人航空機企画調整官の徳永博樹氏は、同省に寄せられるドローンの飛行申請件数が3月に2136件と初めて月間2000件を超えたほか、2016年度の飛行許可1万1272件のうち目的は空撮が41%でインフラ点検は7%にとどまることなどを説明。現在は4月から開始したオンライン申請が約6割を占め好評という。また2019年度から航空機とドローンの飛行情報のデータベースの運用開始を目指す旨を述べた。

経済産業省産業機械課ロボット政策室課長補佐の牛嶋裕之氏は、今年中に政府が目指すドローンによる荷物配送を実現させるため、操縦者の目が届かない場所で飛行させる目視外飛行を安全に行えるようする必要があることを説明。それには運航管理システム(UTM)が重要で、2017年度から3年間の開発プロジェクトを行っているとした。

東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻の淺間一教授は、これまで目視を中心に行っていたインフラ点検以外に、災害時や原発事故の対処にもドローンやロボットが有効であるとし、2011年に起こった福島第一原発事故の処理のため、約40種類のロボットが使われたと説明。ドローンも排気塔といった高所撮影などに使われている。災害や事故の際、危険を避けるためにもドローンやロボットの導入は重要と説明。今後は政府の総合科学技術・イノベーション会議のプログラムであるImPACT(革新的研究開発推進プログラム)で災害時活用に向け、タフで壊れにくい機器開発を目指す旨などについて語った。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介