2018/04/11
防災・危機管理ニュース
情報処理推進機構(IPA)は、企業における IT システム・サービスに関する業務を系列企業やビジネスパートナーなど外部委託が連鎖する形態(ITサプライチェーン)における情報漏えい事故の対策を講じるため、国内1000社を超える企業の業務状況を調査した報告書を3月26日に発表した。委託元企業の約7割が、委託先に対して実施すべき情報セキュリティ対策を仕様書等で明記していないなど、課題が明らかになった。
調査は2017年10月から今年2月にかけて、委託元ユーザ企業499社、委託先ITシステム・サービス提供企業620社に対してアンケート形式で実施した。
これによると、委託元が委託先に対して「実施すべき情報セキュリティ対策を仕様書等で委託先に明記しているか」という質問に対して、「明記していない」と回答したのは委託元499社のうち69.1%にのぼった。業種別では情報通信業が最も少なく46.7%、次いで金融・保険業が56.3%。最も対応が遅れているのは卸売・小売業で74.2%、次いで製造業が71.1%。
また委託業務契約における情報セキュリティの課題について聞いたところ、委託先・委託元ともに「情報セキュリティ上の責任範囲(責任分界点)がわからない」と回答する割合が最も多く、それぞれ委託元で54.5%、委託先で44.7%となった。
結果を受けてIPAでは、経済産業省が2017年11月に発表した「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer. 2.0」なども参考に、今後ITシステム・サービス関連の業務委託におけるセキュリティ対策の状況把握や対策実施が推進されるよう、関連する調査・分析をすすめる予定。
■ニュースリリースはこちら
https://www.ipa.go.jp/about/press/20180326.html
(了)
リスク対策.com:峰田 慎二
- keyword
- IPA
- サイバーセキュリティ
- サプライチェーン
- 業務委託
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方