東日本大震災での津波被害について説明する大熊専門官

国土交通省は3月27日、都道府県の危機管理担当者を対象にした「大規模災害時における船舶活用セミナー」を東京都千代田区の都道府県会館で開催。津波対策など船舶の危機管理対応や都道府県が船舶活用マニュアルを策定する際に活用するガイドラインについての説明などが行われた。

船舶の危機管理対応では海事局安全政策課危機管理室の大熊明嗣専門官が解説。2011年の東日本大震災では岩手県の大船渡港で、地震発生後30分強で高さ8m以上の津波が襲来したが、実際に避難に要した時間は60分程度だったことを説明。2016年7月に船舶の津波避難行動のために最低限必要な3ステップを1枚紙の裏表にまとめた「津波対応シート」を紹介した。

「災害時の船舶活用マニュアル策定のためのガイドライン」については海事局内航課の小森浩志課長補佐が説明。東日本大震災で警察、消防、自衛隊など要員約4万6700人や車両1万2800台の輸送を実施。また同震災や2016年の熊本地震で被災者に食事や入浴のサービスを提供したことなどを紹介し、ガイドラインを用いてマニュアル策定し、船舶の災害時活用に生かすことを呼びかけた。

日本海事センターの調査によると、災害時の船舶活用マニュアルを策定している都道府県は2017年12月現在2団体のみ。今後策定を検討しているのも3団体しかない。ガイドタラインについては15団体が「存在を知らなかった」としている。国交省海事局では取り組みを今後も都道府県に広く紹介し、船舶の活用を促進していく。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介