2018/04/03
防災・危機管理ニュース
国土交通省は3月27日、都道府県の危機管理担当者を対象にした「大規模災害時における船舶活用セミナー」を東京都千代田区の都道府県会館で開催。津波対策など船舶の危機管理対応や都道府県が船舶活用マニュアルを策定する際に活用するガイドラインについての説明などが行われた。
船舶の危機管理対応では海事局安全政策課危機管理室の大熊明嗣専門官が解説。2011年の東日本大震災では岩手県の大船渡港で、地震発生後30分強で高さ8m以上の津波が襲来したが、実際に避難に要した時間は60分程度だったことを説明。2016年7月に船舶の津波避難行動のために最低限必要な3ステップを1枚紙の裏表にまとめた「津波対応シート」を紹介した。
「災害時の船舶活用マニュアル策定のためのガイドライン」については海事局内航課の小森浩志課長補佐が説明。東日本大震災で警察、消防、自衛隊など要員約4万6700人や車両1万2800台の輸送を実施。また同震災や2016年の熊本地震で被災者に食事や入浴のサービスを提供したことなどを紹介し、ガイドラインを用いてマニュアル策定し、船舶の災害時活用に生かすことを呼びかけた。
日本海事センターの調査によると、災害時の船舶活用マニュアルを策定している都道府県は2017年12月現在2団体のみ。今後策定を検討しているのも3団体しかない。ガイドタラインについては15団体が「存在を知らなかった」としている。国交省海事局では取り組みを今後も都道府県に広く紹介し、船舶の活用を促進していく。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方