2018/03/29
防災・危機管理ニュース
東京都は28日、「東京都災害医療協議会」の今年度第2回会合を開催した。2020年東京オリンピック・パラリンピックを見すえ、大規模イベントの医療・救護ガイドライン(指針)の改定作業を2018年度に行うことと災害拠点病院2施設の追加を承認。DMAT(災害時派遣医療チーム)の精神医療版といえる東京DPAT(東京都災害派遣精神医療チーム)を30日付で創設することが報告された。
イベントのガイドラインは2009年4月に策定。救護所は観客数1万席ごとに1カ所、総観客数の1%の救護資器材、1会場ごと1台の救急車といった目安を示している。また基本的な考え方は災害やテロといった原因ごとの計画の細分化はせず、けが人や病人の多数発生時の基本的な医療・救護体制を構築するためのものとしている。
しかし現行では原因ごとの特性を考慮した体制整備が難しいほか、医療機関への情報伝達や、発災直後の会場内と会場近接地の医療提供の具体的な体制が明記されていないといった問題がある。このため、原因ごとの対処要領や医療機関との連携、情報共有といったことを新ガイドラインで盛り込む予定。2018年度に6回改定部会を開催。検討内容をテストイベントなどで検証し、必要に応じてガイドライン見直しを行う。テストイベントは2019年度から五輪に向け3回行う予定。
災害拠点病院は新たに森山記念病院(江戸川区、275床)と立川病院(立川市、450床)を追加。これにより82施設・4万4057床となる。
東京DPATは、精神科病床のある25医療機関が協定を結び、30日付で創設。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の経験から、可能性が高いとされる首都直下地震に備え精神面のケア体制を整えることとなった。原則、精神科医、看護師、業務調整員など4人で1チームとし、1週間活動。活動後、ほかの登録機関のチームに業務を引き継ぐ。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方