五輪に向けイベントの救護体制強化を図る

東京都は28日、「東京都災害医療協議会」の今年度第2回会合を開催した。2020年東京オリンピック・パラリンピックを見すえ、大規模イベントの医療・救護ガイドライン(指針)の改定作業を2018年度に行うことと災害拠点病院2施設の追加を承認。DMAT(災害時派遣医療チーム)の精神医療版といえる東京DPAT(東京都災害派遣精神医療チーム)を30日付で創設することが報告された。

イベントのガイドラインは2009年4月に策定。救護所は観客数1万席ごとに1カ所、総観客数の1%の救護資器材、1会場ごと1台の救急車といった目安を示している。また基本的な考え方は災害やテロといった原因ごとの計画の細分化はせず、けが人や病人の多数発生時の基本的な医療・救護体制を構築するためのものとしている。

しかし現行では原因ごとの特性を考慮した体制整備が難しいほか、医療機関への情報伝達や、発災直後の会場内と会場近接地の医療提供の具体的な体制が明記されていないといった問題がある。このため、原因ごとの対処要領や医療機関との連携、情報共有といったことを新ガイドラインで盛り込む予定。2018年度に6回改定部会を開催。検討内容をテストイベントなどで検証し、必要に応じてガイドライン見直しを行う。テストイベントは2019年度から五輪に向け3回行う予定。

災害拠点病院は新たに森山記念病院(江戸川区、275床)と立川病院(立川市、450床)を追加。これにより82施設・4万4057床となる。

東京DPATは、精神科病床のある25医療機関が協定を結び、30日付で創設。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の経験から、可能性が高いとされる首都直下地震に備え精神面のケア体制を整えることとなった。原則、精神科医、看護師、業務調整員など4人で1チームとし、1週間活動。活動後、ほかの登録機関のチームに業務を引き継ぐ。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介