今回紹介させていただくのは、Integrated Research on Disaster Risk(IRDR)(災害リスク統合研究)が2021年6月に発表した「IRDR Compilation 2010-2020 : A Ten Year Science Quest for Disaster Risk Reduction」という報告書である。IRDRとは国際学術会議(International Council for Science:ISC)と国連防災機関(UN Office for Disaster Risk Reduction:UNDRR)が共同で設置している国際研究プログラムで、自然災害が社会へ与える影響を軽減するために、世界各国で行われているさまざまな研究成果の統合活用を目指している。
そして今回紹介させていただく本報告書は、IRDRにおける直近10年間の研究活動の成果がまとめられたもので、下記URLから無償でダウンロードできる。
https://www.irdrinternational.org/knowledge_pool/publications/868
(PDF 321ページ/約30.9 MB)
大変ボリュームのある報告書なので、本報告書をダウンロードされたら、まず目次を見て全体の構造を把握し、最後の方(277ページ)に掲載されているExecutive Summaryから読まれることをお勧めしたい。サマリーだけで36ページもあり、個人的にはサマリーのサマリーが欲しくなるレベルである。恐らく巨大な研究プログラムなため、10年分の活動内容や成果を網羅するためには、このくらいのボリュームが必要だったのであろう。
図1はIRDRの運営体制である。既に述べたISCとUNDRRは図の左上にあり、Scientific Committee(科学委員会)(注1)を通してIRDRの研究活動の方向づけや計画策定、活動状況の監督、さらには研究成果の発信までを担っている。これに対して右上には、International Programme Office(国際プログラム事務局)による活動の運営を担う組織として3つの組織が書かれているが、これらはいずれも中国の組織であり(注2)、事務所も北京にある。こういうところでも国際社会における中国の存在感の大きさを感じざるを得ない。
なお、図1の左下にある「IRDR NC」は国ごとに設置されているNational Committeeを指している。現在13のNCが設置されており、日本においても「IRDR Japan」が日本学術会議によって運営されている。
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