2018/03/20
防災・危機管理ニュース

国土交通省は19日、東京都千代田区の全国都市会館で「危機管理型水位計運用協議会」の設立総会を開催した。同省の地方整備局のほか、北海道や京都府、大阪府など31道府県、兵庫県神戸市など11市町を含む53機関が参加。低価格水位計である「危機管理型水位計」を用い、主に地方自治体が管轄する中小河川での観測データをクラウドにより参加機関全てで共有する。
水位計はオーダーメイドであったり、専用回線を敷設する必要があったりなど、設置に数千万円のコストがかかることが多い。このため都道府県や市町村が管理する中小河川での導入が進んでいない。国交省では2017年に横浜市の鳥山川で100万円以下の水位計の実験を行ったほか、検討会を開き「危機管理型水位計」の基準作りを進め、1月に基準をまとめた。
水位計は通信機能を持ち、クラウドを活用した全国統一システムへ観測データ送信を行う。6月から本格運用を予定している。総会に出席した国交省水管理・国土保全局の山田邦博局長は2016年の台風10号による岩手県の小本川での被害や、2017年の九州北部豪雨を例に挙げ、「十分な水位情報が不足していた。特に中小河川は重要だった」と振り返った。そのうえで「これまでは整備費用の問題もあり、水位計活用になかなか至らなかった。今回、維持管理コストも削減できたので、ぜひ活用してほしい」とした。
■関連記事「国交省、低コスト水位計の基準策定」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4626
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方