2021/06/08
【オピニオン】コロナ禍の出口はどこに
寄稿:3度目の緊急事態宣言を受けて
企業の課題と対応その3

リスク経験年数:4年 匿名希望(68 歳)
感染対策の実施項目を半分に
私の勤務先は都内にある中小の製造業です。1回目の緊急事態宣言を受けての対応は主に次のとおりでした。
②電車通勤者には車通勤を勧め、社有車を貸与
③営業は納品以外、顧客との接触は禁止
④休憩時間は3部制
⑤間接部門と製造部門とで使用するエレベーターを分別
⑥工場見学禁止
⑦事務所に立ち寄ることができる人は、荷物の受け渡しに限定
⑧事務所のドアは常に開放
⑨納品書の事務処理ができる担当は席を離した
2回、3回目の緊急事態宣言の時は、このうちの④⑥⑦⑧の4 つを実施しました。なお、当然ながらマスク着用と手指消毒は必須としております。対応が半分に減った理由としては、幸いコロナに感染した社員が発生しなかったこと、および人との接触回避はそれで十分と経営が判断したことが挙げられます。
コロナは本当のところどうなのか

地上波テレビニュースが伝える日々のコロナ情報は、ネガティブ指向に陥ります。それが1年以上続いているわけで、もう勘弁してとも言いたくなります。地上波テレビは時間が限られているので、深掘りはできず、危機をあおっているようにも受け取れます。
一方、ユーチューブなどで情報発信を続ける大学教授には、厚生労働省のデータを用いてインフルエンザの年間患者数、死亡者数とコロナの感染者数、死亡者数を比較して説明する方もいます。コロナはインフルエンザより致死率は高いものの感染力は弱く、そのうえインフルエンザの感染拡大を阻害しているということで、その教授はコロナを恐れている様子は少しもないようにみられます。厚生労働省においてはインフルエンザとコロナの違いを明確にしてほしいと思います。
他方、がんの専門医からは、コロナ禍で定期健診がおろそかになっているため早期発見が難しくなっているとの指摘もあり、医療体制の抜本的な見直しが求められているように思います。政府は真摯に政策を見直してほしいと思います。
率先垂範で事務所フロアを消毒

最後に、私が日々励行していることを紹介します。実はコロナ禍前の2018 年2月、出勤日の土曜お昼から食堂で全員が集まってのイベントを開催しました。そうしたところ、翌週月曜日にインフルエンザで5名から休みの電話が入り、慌てました。インフルエンザで金曜日まで休んでいた社員が、土曜日に出勤したので、その影響ではという疑念があります。
5名は丸1週間休みで、70 名弱の企業としては大きな痛手となりました。そこで私は毎週月曜、1週間は効果があると言われる消毒剤を用いて、会社のドアノブや取っ手等の汚れを拭き取ることにし、現在も続けています。
1回目の緊急事態宣言以降は、事務所フロアの会議室および打ち合わせ室の机と椅子の取っ手、複合機等も毎日消毒剤を用いて拭いております。大きな作業量でもないので、コロナ禍が収束しても継続していくつもりです。
【オピニオン】コロナ禍の出口はどこにの他の記事
- ワクチン接種 企業に求められる「安全配慮義務」とは?
- 「出口戦略」でいまやるべきことが見えてくる
- 感染対策の項目を第1回宣言時の半分に削減
- 「グレート・リセット」を踏まえた対応が必要
- 想定外に耐え得るようBCPとBCMSを見直す
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方