来年度の公表予定や地震研究施策などを話し合った

政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は12日、第55回政策員会と第67回総合部会の合同会議を開催した。地震調査委員会における2018年度の公表予定として中日本地域の活断層の長期評価や日本海溝沿いの地震活動の長期評価などを発表する。

2018年度の主な公表予定は(1)中日本地域の活断層の長期評価(第一版、一部)(2)日本海溝沿いの地震活動の長期評価(3)海域活断層の評価手法、日本海南西部の活断層の長期評価(4)地震発生確率の年次更新(5)全国地震動予測地図2018年版(6)南海トラフの地震による津波の評価(7)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)8年目の評価。

(1)については2017年12月に四国地域の活断層の長期評価を出したように、2018年度は近畿・中部地方で公表する。広範囲なので半分程度になる見込み。(2)についても同月に千島海溝沿いの地震活動の長期評価を改訂。北海道東部沖の千島海溝沿いの地震予測について、今後30年以内でM(マグニチュード)8.8程度以上の地震が起こる確率を7~40%とした。次はその南の東北から房総半島沖に広がり、2011年の東日本大震災の震源付近も含む日本海溝沿いの評価改訂を行う。(3)は海域の活断層の評価手法の検討と、日本海南西部の活断層の長期評価を実施。(4)(5)(7)は毎年行っている。(6)は2017年1月にまとめられた、波源断層を特性化した津波の予測手法(津波レシピ)に基づき評価される。

また2009~18年度の現行の地震調査研究の原則となっている「新総合基本施策」における実績や課題をまとめた「新総合基本施策レビューに関する小委員会」の報告書が取りまとめられたことを発表。今後の課題として内閣府など他省庁との連携や高知県沖から日向灘にかけての南海トラフの西側および日本海、南西諸島における海底の地震・津波観測網の拡充などが課題としてあげられた。この報告書を基に、2019年度からの次期総合基本施策をまとめるが、出席した委員から「全国どこでも強い揺れが起こる可能性のあることが、(2016年の)熊本地震などの際にうまく伝わらなかった」「地方自治体や(被災情報を扱う)ローカルメディアなどとも連携を進めるべき」など、広報や他組織との連携などで意見が出された。

さらに株式会社サーベイリサーチセンターによる、防災情報や危険度に使われる配色の調査報告が行われた。男性の5%にいるとされる先天的色覚障害では、赤と緑の識別が困難なことがある。地震本部では例えば「確率論的地震動予測地図(震度の分布)」で緑がマップ上に用いているが、色覚障害についての有識者から「緑は人によっては赤と混同される」との指摘があったなどの報告がなされた。地震本部では今後、対応を検討していく方針。

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介