Q.両市から学べる点はどのようなことでしょう?

A.ボストンマラソンとロンドンマラソンで共通しているのは的確なリスク評価です。両市とも完璧な安全確保には限界があることを理解した上で、有限のハードとソフトをどのリスクに割り振って対応すべきかをしっかり考えています。例えば、今話題のドローンは現状ではまだ小型で爆薬を大量に積載することができないため、欧米ではまだ重大なリスクとして評価されていません。それよりも、ボラードで車載テロを防ぐほうを優先します。また、日本ではあまり見られませんがボランティアや民間企業の参加者もエマージェンシートレーニングや行動分析トレーニングを積極的に受けています。

私自身は、セキュリティマネジメントはシンプルなものだと考えています。許可のないヒトやモノ(荷物やウィルスなど)を管理区域に入れないこと、このボーダーコントロールさえ徹底できれば、リスクの多くは回避できます。しかし、それを実現するためには、組織間の連携と多様な訓練の実施に加え、最新のソリューションの導入も欠かすことができません。日本がこうした海外のイベントから学べる点は多いですし、日本の技術によっては、もっと効率的な危機対応を実現することも可能だと思います。

(了)