会議では一極集中の弊害も指摘された

内閣官房は2月28日、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」の第39回会合を開催。2019年度に予定されている次期国土強靭化基本計画の策定に向け、脆弱性評価や45の「起きてはならない最悪の事態」の見直しについて話し合われた。最悪の事態に至るフローチャートで特に多く挙がる課題を「戦略的政策課題(仮称)」として、今後集中的な議論を行う方針が示された。

「起きてはならない最悪の事態」では、例えば自然災害の発生という初期事象から避難所の衛生環境の悪化などが起き、最悪の事態として「被災地における疫病・感染症等の大規模発生」が起こるといったフローチャートを用いて分析している。今回は豪雪などによる多数の死傷者の発生など5つを新たに設定し、6つの内容を組み替える。

このフローチャートで多くの最悪の事態に影響を与えている事象などを「戦略的政策課題」に設定する。今回の最悪の事態で多く出てくる事象については「災害リスクの高い場所への人口集中」「住宅・建物の被害」が10回で最多。こういった悪影響を広く与えるものの検討に注力する。

また住宅・都市や交通・物流など13の施策分野ごとの脆弱性の総合的な評価を公表。住宅・都市では住宅など建物の耐震化推進や天井など非構造部材の落下防止、帰宅困難者対策などが指摘された。交通・物流では道路閉塞や停電の防止の観点から無電柱化の必要性も盛り込まれた。

全体に共通して重要な施策として、(1)リスクコミュニケーション(2)人材育成(3)官民連携(4)老朽化対策(5)研究開発―が挙げられた。リスクコミュニケーションでは地域住民やコミュニティによる自助や共助の取り組み、住宅・建築物に耐震化や備蓄といった投資や備えの普及・啓発などを想定している。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介