2016/11/06
事例から学ぶ
最先端のテクノロジーで世界のIT産業を牽引し続けるIBM。170カ国以上でビジネス展開する同社にとって、BCPは、そのブランド力を保持する上でも、表面的な「形」だけではなく、現場社員までを含めた組織全体の文化になっていることが求められる。
顧客のIT環境を守ることが同社の使命。同社では、全社的な仕組みとしての「上から」のアプローチと、従業員が勤務する部門、事業所ごとの「下から」のアプローチを組み合わせて社員の危機意識を養っている。
(編集部注:この記事は「リスク対策.com」VOL.49 2015年5月25日掲載記事をWeb記事として再掲したものです。役職などは当時のままです。)
ビジネス・コンダクト・ガイドラインに毎年署名
IBMが社員の危機意識を高めるための第一段階として位置づけているのがBCG(ビジネス・コンダクト・ガイドライン)だ。「会社として何を大切にしているか、理念教育の1つです」と同社ストラテジー・セールス・トランスフォーメーション&オペレーションズでBCPリーダーを務める齋藤守弘部長は説明する。
BCGはA4サイズで33ページ。CEO(最高経営責任者)のあいさつから始まり、「基本方針」「報告」「職場」「市場での行為」「私的な活動とIBM社員としての立場」「その他の指針」とテーマ別に、IBMの社員(IBMer)として市場や社会で守るべきルールや振る舞い、果たすべき責任が明確に記されている。
IBMのCEOであるバージニア・M・ロメッティ氏は「IBMがBCGを策定して、企業を統治する書類として大切にしてきたものは、私たちの行動ならびに顧客、投資家、同僚および、ともに生活・仕事をするコミュニティとの関係といったものがすべて、個人や企業として有するIBMの価値の上に成り立つものだということを確実にしたかったからだ」とメッセージを発している。IBMが経営哲学を実現する上での法令遵守と倫理的な行動の判断基準が、この33ページに集約されている。BCPや防災に関する直接的な記述はないが、「BCGは、社員としての規範を示すことで安全文化を育む大切なステップ」(齋藤氏)。全社員には年に1度必ず宣誓の署名が求められるなど、その取り組みは徹底している。
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