2018/02/21
防災・危機管理ニュース

消防庁は20日、「消防指令システム等の相互接続に関する研究会」の第3回会合を開催。メーカーごとに異なる消防指令システムと消防救急無線の相互接続の仕様の標準化へ論点整理が行われた。各消防本部の独自機能への対応や、既設設備メーカーと新規メーカーの事業切り分けによる新設側への配慮などが話し合われた。
消防本部と消防・救急隊を結ぶ消防救急無線は2016年にデジタル化を完了。119番通報を受ける電話網や防災情報システム、消防OAシステムとも消防救急無線は接続されている。しかし消防指令システムと消防救急無線の相互接続の仕様がメーカーごとに違うことが明らかとなり、制御や通信の方式が既設メーカーしかわからないと今後の通信に支障をきたす可能性があることから、インターフェースの標準化を行う。
消防指令システムもしくは消防救急無線の整備や更新を行う際、どちらかが既設のままでどちらかが新設とする場合、既設メーカーの方が有利で新設の新規参入が妨げられる恐れがある。そのため論点整理では、両システムの接続へ既設設備の改修や中間サーバーの設置が必要な場合、新設の事業は既設の事業と別に切り分けて実施。新設メーカーがどちらかのシステムを作り、既設メーカーが中間サーバーを設けるもしくは既設システムの改修をするといった対応を行う。また発注元の消防本部が接続に必要な事業者間の調整を行うのが望ましいとした。
各消防本部の独自機能を追加する拡張性については、将来の技術発展を考えれば独自機能拡張は避けられないとし、インターフェース仕様の継続的見直しで新機能が追加できるようにしていく方針。独自機能が特定のメーカー依存につながらないよう留意する。
消防庁では今年度中に中間とりまとめを行い、相互接続の仕様の標準化を2018年度に完了させる計画。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方