無電柱化推進法に基づく初の国の計画策定となる(出典:写真AC)

国土交通省は19日、「無電柱化推進計画」の案を公表した。3月12日までパブリックコメントを募集する。2016年に施行された無電柱化の推進に関する法律に基づく初の無電柱化計画。2018~20年度までの3年間で、東京都心の幹線道路の無電柱化を完了させるなど数値目標も盛り込んだ。目標達成へ約1400kmの無電柱化が必要。

計画案では取り組みへの姿勢について「増え続ける電柱を減少に転じさせる歴史の転換期とする」と明言。数値目標については(1)防災(2)安全・円滑な交通確保(3)景観形成・観光振興(4)オリンピック・パラリンピック関連-で設定している。

防災では災害時の物資輸送で重要となり、電柱の倒壊による閉塞を避けたい都市部の第1次緊急輸送道路について現状の無電柱化率34%を42%に高める。安全・円滑な交通確保ではバリアフリー化の必要な特定道路で15%なのを51%とする。景観形成・観光振興では世界文化遺産周辺の地区を代表する道路で37%を79%に、重要建造物群保存地区を代表する道路で26%を74%に、景観法に基づく景観地区等を代表する道路については56%を70%にまで高める。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けては、首都高速中央環状線内側の「センター・コア・エリア」内の幹線道路について現在92%の無電柱化率だが、完了させる。4つの目標達成には約1400kmの無電柱化を要する。

無電柱化の推進に向け、電柱の道路占有には制限を設ける一方、地上機器など無電柱化に資するものについては占用料の減額を行う。現在主流の電線類地中化の共同溝方式ではkmあたり5.3億円かかかるコストについては、浅層埋設や直接埋設といった低コスト化手法の採用、民家の軒下に管を設置しその中に電線を通しつなげていく軒下配線、電柱を裏通りに立て、表通りに立てる従来よりも目立たなくする裏配線など、多様な手法活用を盛り込んでいる。

国の無電柱化計画に基づき、地方自治体も計画を策定していく。東京都では東京都無電柱化推進条例に基づいた2018年度から10年間の「(仮称)東京都無電柱化計画」を今年度中に策定予定だが、国の無電柱化計画が策定された場合、2020年度までの具体的な数値目標を盛り込んだ計画も別途策定する。都建設局によると、その場合は2014~18年度までの第7期東京都無電柱化推進計画を改定する形をとる。同計画では5年間で都道717km、区市町村道199kmの計916kmの無電柱化整備計画延長などを目標としている。

■ニュースリリースはこちら
http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000946.html

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介