協議会の越山会長(左)から都の三木消費生活部長に報告書が手渡された

東京都は15日、「東京都商品等安全対策協議会」の今年度第4回会合を開催。子どものベランダからの転落防止のための手すりの安全対策について報告書をまとめた。越山健彦会長(千葉工業大学社会システム科学部金融・経営リスク科学科教授)が都生活文化局の三木暁朗・消費生活部長に報告書を手渡した。報告書には手すりの高さ1200mm以上を検討することや、手すりの位置を工夫すること、エアコン室外機など足がかりになるようなものを設置する際の注意などが盛り込まれた。

子どもが住宅のベランダの手すりを越えたり、手すりの隙間をすり抜けたりしての転落防止を図る。この検討のため、2歳・4歳・6歳の各7人による実証実験を実施。1100mmの高さの手すりに、足がかり部分や手のかかる部分である笠木の位置や太さといった条件を変え、子どもが上までよじ登れるか検証を行った。

手でつかむ笠木(赤い横に伸びた棒)を手前にずらすことで、子どもがよじ登りにくくなることが実験でわかった(提供:東京都生活文化局)

実験やこれまでの議論から、報告書には手すりの高さについて建築基準法施行令に定められた1100mm以上の確保のほか、さらなる安全性への配慮として1200mm以上も検討すべきことが盛り込まれた。腰壁など足がかりになりそうな部分の上端から手すりまでの高さについては、優良住宅部品の評定機関であるベターリビング(BL)基準の800mm以上とするほか、900mm以上を推奨した。実験において笠木の位置を10cm手前にずらすことで特に4歳児のよじ登り防止に効果があったことから、手すりの位置に工夫を行うよう呼びかけた。手すりの隙間からの子どものすり抜け防止のため、BL基準の110mm以下の順守のほか、90mm以下が安全性向上のため検討すべきとしている。

周辺環境ではエアコンの室外機が子どもの足がかりになる危険性が高いことを指摘。手すりから60cm以上離して設置することや、上から吊るす、戸建てであれば1階に置くといった対策をとるよう提言した。物干しなども上から吊り下げ、手すりから60cm以上離すことを検討すべきとしている。

協議会では有識者のほか東京消防庁、BL、住宅生産団体連合会など業界団体、オブザーバーとして国土交通省、経済産業省、消費者庁も参加した。越山会長は「これ(報告書)が終わりでなく、これからが始まり」と説明。都生活文化局では報告書の内容をホームページに掲載するほか、リーフレットを作成し啓発活動を展開。国や業界団体に安全対策を働きかける。

この日の会合では過去に同協議会で検討した商品の安全対策についてのその後についても報告が行われた。2016年度に検討された子どもに対する歯ブラシの安全対策では、歯みがき中に歯ブラシをくわえたまま転倒しても、ハンドルが曲がり口への負担を軽くする製品の発売、業界団体による注意表記の強化といった成果があった。越山会長は「米国の消費者リスクの視点として、アンリーズナブル(不合理な)リスクというものがある」と述べ、欠陥とまではいかなくとも、子どもや高齢者など弱者が商品を安全に使えるような配慮が求められるという考え方を紹介した。

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http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/15/09.html

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介