都道の無電柱化強化について説明する小池知事

東京都は9日、「(仮称)東京都無電柱化計画」の素案を発表した。2018年度からの10年間の都の基本方針などを示したもので、東京都無電柱化推進条例に基づいて策定された。23日までパブリックコメントを募集。今年度内に策定する。防災上重要な拠点周辺の都道無電柱化の強化、都道だけでなく区市町村道での支援や、都市開発諸制度を活用した開発者への無電柱化によるインセンティブ付与などが盛り込まれた。

都道の無電柱化についてはこれまで首都高速中央環状線内側の「センター・コア・エリア」と呼ばれるエリアで重点的に行われ、このエリアの都道では2016年度末現在の電線類地中化率は94%となっている。重点エリアを環状七号線内側に拡大。環七内側エリアの対象路線で10年後には全線事業着手を目指す。また区市町村庁舎や災害拠点病院といった、防災上重要な拠点を結ぶ都道の無電柱化も注力する。

都内道路の約9割を占める区市町村道については、補助などの支援を実施。今年度から浅層埋設や直接埋設など低コスト手法に取り組む区市町村へ、全額補助や都の職員による技術支援を行っている。こういった支援などで区市町村道の無電柱化を推進する。

まちづくりにおいて、都市開発諸制度を活用。開発区域内の無電柱化の義務づけのほか、開発者が開発区域外の周辺道路の無電柱化に貢献した場合、最大200%の容積率割り増しのインセンティブを付与する。現在主流の共同溝方式ではkmあたり5.3億円かかるといわれるコストについては技術開発を促し、10年後の3分の1カットを目指す。

国道・都道・区市町村道も含めた東京23区の無電柱化率は2016年度末の国土交通省調べで8%とされている。ロンドンやパリのほか香港も100%、台北が95%、シンガポールが93%、ソウルが46%と、欧米だけでなくアジアの大都市からも後塵を拝している。小池百合子知事は9日の記者会見で「無電柱化率が諸外国の首都とひとケタ違う」とし、「国道、都道、最も長い区市町村道でも防災の観点から(無電柱化を)必要のある所から進めていきたい。防災や安全・安心のためにもインセンティブ付与も含めて行っていく」と述べた。

都建設局によると、無電柱化の推進に関する法律に基づいた数値目標を含んだ国の法定計画が策定された場合、都でも具体的な数値目標を含んだ実施計画を策定する方針。

■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/09/07.html

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介