アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
以前、赤ちゃんや、高齢者、怪我をした人をさらしのだっこやおんぶで避難する方法を説明しました。
■今の子どもは「おんぶ」もできない?今だからこそ伝えたい「だっことおんぶ」の話 さらしを使った「だっことおんぶ」をマスターしよう!
http://www.risktaisaku.com/articles/-/2047
今回は、新生児の赤ちゃんの避難方法についてです。新生児の首が座っていない赤ちゃんも、慣れている人はさらしでだっこできます。でも、新生児を初めて見る新米のパパやママにとっては、そうそううまくはいかないものなのです。
そもそも、身近で新生児に接したことがある人は少ないのです。感染の危険もあるので、新生児の赤ちゃんは産院から家に直接向かいます。一般の生活圏には出現しません。レアポケモンよりレアなのです。
だから、物心ついたときから新生児を見たことがないという人は多いのです。みなさんはどうですか?3ヶ月未満の赤ちゃん、最近だっこしましたか?経験が少ないため、抱っこしようとしても、どうしていいかわからないという方も多いのです。もちろん産院などでレクチャーはあるわけですが、3ヶ月くらいまで首が座っていないのですよ。
だっこしたら、くびがグラグラ!さらに、激しく揺さぶってしまうことにより、6ヶ月未満の赤ちゃんが脳障害を負う「ゆさぶされっこ症候群」も有名です。だから、一瞬たりとも揺れてはいけないのではないかと、フォークリフトの様な動きでしか赤ちゃんをだっこできない方もいるとか・・・・。
そんな新生児をはじめて家に迎えた方が災害にあったら、それはもう大変です。はじめての外出は、1ヶ月検診と言われる産後最初の検診であることが多いのです。それまでは外出しない生活です。全く外出したことがなくても、津波、火事、土砂災害から避難しなければいけないのです。ご家族だけじゃなく、地域のみなさんも安全にどう連れて逃げるかアドバイスできる方は少ないかと思います。
そこで、2010年から一緒に講演をしている NPO法人だっことおんぶの研究所 では新生児連れはトートバックによる避難をおすすめしていました。
横長で、頑丈なトートバックの底に、おむつや着替えをいれておいて底上げします。次に、赤ちゃん用のおくるみ(アフガン)で赤ちゃんをくるみます。くるむのは必須ではないのですが、赤ちゃんはまだ手足を自由に動かせないので、走ったりすると、手足がふにゃふにゃばらばらに動いてしまうのです。日常でもくるまれたりしていますから、いつものようにくるんであげます。モスリン素材などの柔らかくてふんわり生地が人気です。
で、さきほどの底上げしたバックの上に赤ちゃんを乗せます。トートバックを肩にかけたとき、赤ちゃんが前方、つまり赤ちゃんの顔が見えるようにして、状況を確認しながら逃げるようにします。そうすれば赤ちゃんにとって安全な形で逃げる事ができます。
ただ、赤ちゃんが生まれた後に、「そうだ防災も大切!」って思っても、あまりに日常が急変してしまうため防災グッズまで手がつけられないのが実情です。ドラマに出てくる赤ちゃんは、おとなしくベビーベットですやすや寝ていて、おしゃれなパパやママが穏やかにあやしているかもしれません。しかし、実際は親子ともども寝不足で、髪はぼさぼさ・・。それだけでなく、今やこどもが生まれたら、いや生まれる前からすぐ保活の毎日なんですよ!防災なんてやってられるわけがない・・・あ。それは、本題ではないので、置いておいて・・。
ともあれ、生まれたらいっぱいいっぱいの生活が待っているので、トートバックという簡単で身近にありそうなものでも、避難道具としてジャストサイズのものは意外と持っていなかったという実情もありました。なにより、普段から使っていないものは焦りもうまれる災害時には使えません。
そんな折、だっことおんぶの研究所は、病院からの依頼で安全に避難できるトートバックを製品化できないかと相談を受けます。
市販のトートバックには足りない、普段から赤ちゃん道具として使え、それであるがゆえに、避難生活も円滑にするトートバックとして開発されたのがこちら!
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