2018/02/02
防災・危機管理ニュース

東京都は1月31日、「東京都災害時受援応援計画」を発表した。都による他の地方自治体などからの本格的な受援計画の策定は初めて。大規模災害時には都や都内区市町村だけでの対応は困難であるという前提で、都内区市町村や他県市との調整などを計画で定めた。
都はこれまで、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震など大災害のたびに被災地に多くの職員を派遣してきた。都の記録である「平成28年熊本地震 支援の記録」で受援体制に触れたほか、2017年12月に改定した「東京都業務継続計画(都政のBCP)」でも他県市からの応援の受け入れを行う方針を示していた。
都災害対策本部に受援部門として(1)区市町村調整部門(2)人員調整部門(3)物資・輸送調整チーム(4)国・他県市広域調整部門―を設置。(1)で被災区市町村から被害情報や人的・物的ニーズを収集。(2)では区市町村の人的ニーズを集約し、応援人員に関する調整を行う。(3)で被災区市町村の物的ニーズを集約し、支援物資に関する調整を行う。(4)では国や他県市との調整を行う。都では他自治体と災害相互応援協定を締結している。全国知事会や、首都圏の都県と政令指定都市で構成する九都県市、九都県市と協定を結ぶ関西広域連合などへ応援を要請し、受け入れについて調整する。
海外からの人的・物的支援については政府の緊急対策本部と現地対策本部がまず調整窓口となり、都災害対策本部においては国・他県市広域調整部門が担当する。在京大使館との連絡窓口は都政策企画局の外務部が行う方針。
■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/01/31/16.html
■関連記事
「熊本地震の教訓を東京の防災力強化に」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/2341
「都政のBCP9年ぶり改定で『地震編』外す」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4426
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方