ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情
消防パッチで、世界の消防士とつながろう!
お互いを讃えあうために、消防パッチの交換をしてみては?
一般社団法人 日本防災教育訓練センター 代表理事/
一般社団法人 日本国際動物救命救急協会 代表理事
サニー カミヤ
サニー カミヤ
元福岡市消防局レスキュー隊小隊長。元国際緊急援助隊。元ニューヨーク州救急隊員。台風下の博多湾で起きた韓国籍貨物船事故で4名を救助し、内閣総理大臣表彰受賞。人命救助者数は1500名を超える。世田谷区防災士会理事。G4S 警備保障会社 セキュリティーコンサルタント、FCR株式会社 鉄道の人的災害対応顧問、株式会社レスキュープラス 上級災害対策指導官。防災コンサルタント、セミナー、講演会など日本全国で活躍中。特定非営利活動法人ジャパンハート国際緊急救援事業顧問、特定非営利活動法人ピースウィンズ合同レスキューチームアドバイザー。
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私が消防パッチ(Patch:パッチ)の収集を始めたのは約30年ほど前のことだった。国際緊急援助隊の隊員となり、IRT(International Rescue Team}のパッチを左袖に身につけたとき、一人前のレスキュー隊員になったことを自覚したのを覚えている。
当時は世界の消防に興味があり、外務省の外国公館リストを入手し、各大使館経由で世界の国々の首都を守る消防局に消防年報と消防パッチなどを送ってくださいという手紙を、100カ国以上に出した。
すると約40カ国以上の消防局長や広報担当者から、タイプライターで打たれた手紙や直筆の文書を消防年報と消防パッチに加え、Tシャツやヘルメット、バッジや階級章、ベルトのバックル、キャップなどさまざまな消防コレクターアイテムが送られてきて、半年ほどで消防博物館状態になった。
Fire | EMS | Police Patches by Butler Patches(出典:Youtube)
そのなかで、ドイツの消防ヘルメットコレクターであるマンフレッドさんという方から、「Visiting Fireman」という消防アイテムコレクターのメンバーズリストがあることを教えていただいたので、すぐに入会した。日本人の会員は、元京都市消防局の宮脇さん、元福岡市消防局の多々羅さん、そして私の3名だけだったため、世界中から日本の消防アイテムを求めて、交換リクエストが届くようになった。
Visiting Firemanは昔、紙媒体のみだったが、現在はHPができたため、簡単に世界の消防士達とつながることができるようになっている。
■Visiting Fireman
http://www.visitingfireman.com
当時は福岡市消防局には消防パッチがなく、意見発表会で消防パッチについて発表したり、上司を通じて幹部に具体的なパッチの目的や役割などを書類や海外から送られてきたパッチを見せて、必要性を訴えていった。
その結果、職員からパッチのデザインのアイデアを募集することになり、後輩の素晴らしい企画デザインが採用され、今の福岡市消防局のロゴとパッチができた。
もちろん、消防パッチは服務規程でも着用が定められ、1人1枚しか配布されなかった。そのため、海外の消防士達と交換することは許されなかったが、何度も上司や幹部に足を運び、集めた消防パッチは防災センターへ寄付すること、有料となることなど、いくつかの条件付きで交換用に複数のコピーを作成することを許可していただいた。
交換していくうちに、世界の消防士達が消防パッチを交換する意味がわかってきた。それは、自分が所属する消防局への忠誠と帰属心の証であり、また交換することは、同じ生命の周期に生きる消防士としての誇りと使命感の共有。そして家族、同士として、お互いをたたえ合い、消防魂の交換を行っているという奥深い理由があることを知った。
またアメリカの場合、消防局のパッチは右袖、日の丸や署所のパッチ(常に日の丸が上)、IRTのパッチは左袖、バッジなどは左胸、名札は右胸に付けるなど、世界の消防の服務規程がミリタリーに準じていることなども知った。カナダでは消防局のパッチを両方に着けるなど、国によって微妙に服務規程が異なる。
■Recommended placements of crests and medals on your uniform
http://www2.gnb.ca/content/dam/gnb/Departments/ps-sp/pdf/Safety_Protection/uniform-e.pdf
オリジナルロゴのワッペンが採用されてからは、アポロキャップやTシャツも作ろうということになり、隊員達の志気も高まっていき、他の消防局との合同訓練の時には少し自慢げだったことも思い出した。
もちろん、所属する消防局の許可が必要だとは思うが、海外旅行に行くときには消防パッチやTシャツ、英語に翻訳された消防年報や名刺などを持参し、旅行先の消防署を訪ねていただきたい。
ほとんどの場合、飛び込みでも日本から来た消防士であることを伝えると中に入れてくれて、消防車両の積載装備や署内の施設などを見学させてくれると思う。ほとんどの場合、訓練などのスケジュールがあるため、午前9時の交代前30分くらいがいいタイミングだと思う。
運が良ければ、消防士達と一緒に消防車の前で記念写真も撮ってくれる。
海外の消防士との現地交流は、旅先でのいい思い出になり、日本の消防士として誇りを感じる素晴らしい経験になると思う。
もし、搭乗体験をしたい場合で現地語が話せない場合は、通訳が同乗する条件で火災や救急等、現場出動させてくれる消防署もある。活動はできない。
消防年報がない場合は、訓練や装備、消防車の写真などでもいいので、何か持って行くと話が膨らんで楽しくコミュニケーションができるはず。
「firefighter patches」でイメージ検索すると数万種類の世界の消防パッチを見ることができる。日本にも国内にはさまざまな消防パッチがある。自主勉強会や訓練の時、お互いを称え合う機会として、名刺だけではなく、消防パッチの交換をしてみてはいかがだろうか?これを機会に交換用のパッチを作ってもいいかもしれない。国内はもちろん、いずれはきっと、世界で活躍する消防士達とつながる入り口になると思う。
(了)
一般社団法人 日本防災教育訓練センター
http://irescue.jp
info@irescue.jp
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