土砂災害・研究最前線~国総研・土砂災害研究部を訪ねて、その2~
ツイッター活用の画期的手法

高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
2018/01/22
安心、それが最大の敵だ
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
茨城県つくば市に広がる筑波研究学園都市の中核的研究機関である国土交通省国土技術政策総合研究所(以下、国総研)の土砂災害研究部を訪ねた。前回に続いて、土砂災害研究部の特筆すべき独自の研究成果を紹介する。第2弾である。
平成26年(2014)8月20日未明に発生した集中豪雨により、広島市では土石流・がけ崩れが同時多発的に発生し、死者数75人(災害関連死を含む)を伴う大災害となった。(以下、「土木技術資料」論文(2016年、國友優氏、神山嬢子様、武田邦敬氏、山影譲氏共同執筆から引用する)。
内閣府は、広島市の災害を含む近年の局所的豪雨による土砂災害の発生状況を踏まえ、「総合的な土砂災害対策検討ワーキンググループ(以下WG)」を設置し土砂災害対策を推進するための検討を行い、WGとしての提言を取りまとめている。
提言は、以下の5つの柱で構成されている。
1.土砂災害の特徴と地域の災害リスクの把握・共有
2.住民等への防災情報の伝達
3.住民等による適時適切な避難行動
4.まちづくりのあり方と国土保全対策の推進
5.災害発生直後からの迅速な応急活動
この柱の一つとして「住民等への防災情報の伝達」がある。ここではSNS等の情報を活用して危険が高まっている箇所を推定する仕組みの構築の必要性について言及されている。
消防庁は、広島市の災害を受けて「突発的局地的豪雨による土砂災害時における防災情報の伝達のあり方」について検討を行っている。この検討報告書では、SNSへの投稿内容をリアルタイムに分析し、土砂災害の前兆現象等や災害の危険性が高まっている地域を把握する技術が実用化された際には、市町村において導入や活用の検討を行うことが重要であると指摘している。
SNS情報を活用し土砂災害の危険性の高まりを把握する技術については、國友氏らによって、人口規模が大きな地域における前兆現象等の把握や住民の心情・心理等に相当程度有効であることが既に示されている。
このように、SNS情報の警戒避難システムへの組み込みに対する社会のニーズの高まりが見られることを受けて、国総研はSNS情報(以下、ツイッター情報)を活用した災害情報収集システム(Disaster Information Gathering System Using Social Sensors、以下DIGSUSS)の試作版を開発し、ユーザーインターフェース等のあり方について検討した。以下はその結果報告である。
(国総研と株式会社富士通研究所との共同研究により得られた成果を報告したものである)
安心、それが最大の敵だの他の記事
おすすめ記事
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。今回、石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
2度の大震災を乗り越えて生まれた防災文化
「ダンロップ」ブランドでタイヤ製造を手がける住友ゴム工業の本社と神戸工場は、兵庫県南部地震で経験のない揺れに襲われた。勤務中だった150人の従業員は全員無事に避難できたが、神戸工場が閉鎖に追い込まれる壊滅的な被害を受けた。30年の節目にあたる今年1月23日、同社は5年ぶりに阪神・淡路大震災の関連社内イベントを開催。次世代に経験と教訓を伝えた。
2025/02/19
阪神・淡路大震災30年「いま」に寄り添う <西宮市>
西宮震災記念碑公園では、犠牲者追悼之碑を前に手を合わせる人たちが続いていた。ときおり吹き付ける風と小雨の合間に青空が顔をのぞかせる寒空であっても、名前の刻まれた銘板を訪ねる人は、途切れることはなかった。
2025/02/19
阪神・淡路大震災30年語り継ぐ あの日
阪神・淡路大震災で、神戸市に次ぐ甚大な被害が発生した西宮市。1146人が亡くなり、6386人が負傷。6万棟以上の家屋が倒壊した。現在、兵庫県消防設備保守協会で事務局次長を務める長畑武司氏は、西宮市消防局に務め北夙川消防分署で小隊長として消火活動や救助活動に奔走したひとり。当時の経験と自衛消防組織に求めるものを聞いた。
2025/02/19
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/02/18
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方