経験者であればわかると思いますが、記者会見を終了するのはなかなか難しいものです。お披露目会見はいつまでも質問を受けても気分はいいですし、終わってから個別対応も十分した方がよいのですが、時間がない時の会見の仕切りは一苦労です。菅政権における女性広報官の仕切り方がなかなか見事ですので、今回は1月7日の官邸記者会見を考察して、仕切り方を解説します。
原稿の読み方のポイントはスピード
菅政権が2020年9月に発足してから、記者会見を仕切る内閣広報官は総務省出身の山田真貴子氏となり、雰囲気も変わりました。初の女性広報官とのことですが、菅総理のそっけなさを補充する役割も担っているように感じます。
さて、1月7日、緊急事態宣言を説明する記者会見時間は18時からスタート。まずは、原稿の読み方です。
安倍前総理との演出の違いは、プロンプターを使っていないこと。これを使っていると記者会見が「イベント」に見えてしまいます。ギリギリまで原稿を練る記者会見には相応しくありません。プロンプターを使っていないため、目線が下に落ちますが、それほど気になりません。
気になるのは表情です。ほとんど表情を変えないため、力強いメッセージにはなりません。読み方は安倍前総理も菅総理も大差はないと思います。ゆっくり読めば聞き取れます。
そして質疑応答。ここが、安倍前総理と大きく異なります。菅総理の最大の武器は「シンプルさ」であると思います。発言に無駄がないので、リスクがありませんが、訴える力に乏しくなります。強調したいことは、繰り返すことで強い印象を残すことができるからです。
安倍前総理は、回答が長い。理由は記者の質問を繰り返すことと、「あー」「えー」と言葉を入れることからです。無駄が多いため、まわりくどくなり、結局何を言っているかわからなくなるリスクがあります。でも、人間的ではあるでしょう。無駄のない表現には人間味が欠けてしまいます。
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