2018/01/10
防災・危機管理ニュース

消防庁は2017年12月1日、「地方公共団体における業務継続性確保のための非常用電源に関する調査結果」を発表した。調査対象は47都道府県と1741市区町村で調査基準日は6月1日。自治体の非常用電源の設置状況は全47都道府県のほか、全市区町村の90.7%にあたる1579団体が設置していることがわかった。市区町村の設置率は2016年4月1日の前回調査と比較して2.6ポイント増。未設置の162団体については、今年度中に9団体、2018年度以降に82団体が設置予定だが、71団体は「予定なし」としている。
災害に対する備えでは浸水想定区域内に災害対策本部を設置する団体を対象に、電源を屋上や高層階に設置したり、周囲を防水壁で囲んだりといった水害対策を行っているか調査。対象16都道府県全てが対策をとっているが、市区町村は「対策済み」は60.4%、「未対策」28.5%、「未設置」が11.1%。「未対策」と回答した190団体のうち、今年度中に12団体、2018年度以降に83団体が対策を予定しているが、95団体は「予定なし」と回答した。
転倒防止など地震対策は全自治体を対象に調査。全47都道府県が対応済みで、市区町村は「対策済み」が71.0%、「未対策」が19.7%、「未設置」が9.3%。「未対策」と回答した343団体のうち、今年度中に23団体、2018年度以降に176団体が対策する予定。「予定なし」は144団体。
望ましいとされる72時間以上の使用可能時間については都道府県では89.4%にあたる42団体が「72時間以上」と回答。「48時間未満」が3団体、「72時間未満」が2団体。設置している1579市区町村では「72時間以上」は37.9%の598団体にとどまり、次いで多いのは「24時間未満」で36.8%だった。72時間以上の使用可能時間を確保していない団体の今後の予定は都道府県では2018年度以降に対応予定が4団体、「予定なし」が1団体。市区町村では今年度中に36団体、2018年度以降に278団体が対応予定だが、667団体が「予定なし」と回答した。
消防庁は2017年12月1日付で都道府県に対し市区町村の非常用電源整備や浸水・地震対策や使用可能の長期化を支援するよう通知を行った。
■ニュースリリースはこちら
https://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h29/12/291201_houdou_1.pdf
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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