手でつかむ笠木(赤い横に伸びた棒)を手前にずらすことで、子どもがよじ登りにくくなる(提供:東京都生活文化局)

東京都は26日、「東京都商品等安全対策協議会」の今年度第3回会合を開催。子どものベランダからの転落防止のための手すりの安全対策について、報告書素案を提示した。手すりの高さを1100mm以上としたり笠木を手前にずらしたりといった商品そのものの安全対策や、エアコンの室外機などベランダの周辺環境にも配慮すべきとした提言を行う方針。

子どもが住宅のベランダの手すりを越えたり、手すりの隙間をすり抜けたりしての転落防止を図る。この検討のため、国立研究開発法人・産業技術総合研究所による2歳・4歳・6歳の各7人による実証実験を実施。1100mmの高さの手すりに、足がかり部分や手のかかる部分である笠木の位置や太さといった条件を変え、子どもが上までよじ登れるか検証した。

実験結果やこれまでの事故分析や協議会での議論を踏まえ、提言案をまとめた。手すりの高さは1100mm以上、さらに安全性に配慮して1200mm以上とすることも検討するとした。足がかりの上端からの手すりの高さは700mm程度では危険と指摘。住宅部品評価を行っている一般財団法人ベターリビングのガイドラインから、800mm以上、できれば900mm以上が望ましいとした。また指が入る隙間をなくすなど、足がかりの形状についても指摘している。

笠木は4歳児の実証実験で手前に10cmずらすことでよじ登り抑止の効果が見られたことから、周辺環境に配慮しつつ、ずらすことを推奨する。手すりの格子間の隙間は110mm以下、手すり下部の隙間は90mm以下とし、子どものすり抜けを防止する。JIS(日本工業規格)への盛り込みも視野へ検討を進めることも盛り込む。

手すりの規格やエアコン室外機といった周辺環境について検討した

周辺環境ではエアコンの室外機が子どもの足がかりになる危険性が高いことを指摘。手すりから60cm以上離して設置することや、上から吊るす、戸建てであれば1階に置くといった対策をとるよう提言した。

都が把握している2007年以降の子どものベランダからの転落による救急搬送もしくは受診の事例は145件。うち死亡は2件あるという。同協議会には都や住宅・建材の関係者や有識者のほか、オブザーバーとして国から国土交通省、経済産業省、消費者庁の関係者も参加している。同協議会では2018年2月に報告書をとりまとめる予定。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介