2021/01/03
2021年1月号 東日本大震災から10年

東日本大震災から今年で10年目を迎える。5年目に当たる2016年には熊本地震が起き、10 年目を迎える今年は新型コロナウイルスにより世界中が混乱に陥っている。その間にも台風や梅雨前線に伴う記録的な豪雨により甚大な被害が度々発生していることを考えると、少なくてもわが国においては、危機のテンポが着実に早まっているかのようにも感じる。
この10 年、政府は企業や自治体にBCPの策定を呼び掛け、その結果、内閣府調査
によれば、令和元年時点で大企業に限っていえば、実に68.4%もの企業がBCPを策定した(策定中を加えれば、80%を超える)。自治体では令和元年6月現在、都道府県の100%、市町村の89.7%(令和元年度内の策定予定を含めると94.4%)がBCPを策定しているという(総務省消防庁調べ)。
さらに莫大(ばくだい)な投資により社会インフラは年々強化され、情報ネットワークの整備や人工知能(AI)の登場により都市機能は飛躍的に高度化し、政府が目指す国土強靭(きょうじん)化は大きく進展しているようである。ところが、災害による犠牲者は一向に減らない、むしろ増えているといってもいい。なぜか。
防災白書をもとに、2011年以降に発生した主な災害を挙げてみた。
2011~13年は毎年のように大雪が降り、多くの人が命を落とした。2016年の熊本地震では、支援物資が被災地に届かないラストワンマイル問題が発生。小規模自治体への支援はまたも大きな課題となり、避難所運営も困難を極めた。民間企業でいえば、多発する余震で被災地の被害状況の確認が手間取ったり、首都圏などにある本社からの支援についても交通手段や宿の確保が障壁となった。
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