大都市での広域避難の基本的考えをまとめる

内閣府を中心とした政府の中央防災会議は21日、「洪水・高潮氾濫からの広域避難検討ワーキンググループ(WG)」の第6回会合を開催。大都市における広域避難に関する基本的な考え方のとりまとめへ向け、主に墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区の東京都の江東5区の事例を中心に、洪水や高潮が起こった際の広域避難計画について話し合われた。

人口約255万人の江東5区は大規模洪水が起こった場合、最大178万人が避難の必要があり、5区内の域内避難が最大で19万人いたとしても、域外避難が最少でも159万人となる。調査で66%の住民が自主避難先への避難を検討し、江東5区内での公的避難施設の容量が3万人分あることから、江東5区外への公的施設への避難者は51万~58万人の見通し。

159万~178万人が区域外移動をしなければならないことや鉄道の運行停止もあることから、天気予報などで推定できる堤防決壊予想時刻の24時間前には避難開始を行うべきとした。また、他の自治体の公的避難施設への避難を最低限とするため、親戚宅や通勤先といった自主避難先の確保を奨励し、広域的な避難施設の調整も行う。歩行者の整列や一方通行規制といったスムーズな移動実現を目指す。

WGではこれらのような避難対象者や避難時間の算出のほか、移動手段や避難先といった主に三大都市圏における洪水や高潮からの広域避難に関する基本的な考え方をとりまとめる方針。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介