火災現場でも要救助者や火災元の特定が期待される

DJI JAPAN株式会社は8日、静岡県焼津市危機対策課、愛知県豊川市防災対策課、志太消防本部が、自然災害などに起因する捜索救助に活用するために、同社の産業用空撮プラットフォームの試験運用を開始したと発表した。悪天候下や火災で視界が制限される現場での運用や、長時間、長距離に渡る飛行でも効率的で安全な情報収集が可能になる。

焼津市危機対策課が試験運用を開始したのは、防滴・防塵加工のドローン「MATRICE 200」。「悪天候下でも、いち早く上空から状況を把握できるため、一刻を争う捜索救助などの災害対応にとって非常に有益なツールとなる」(同社)。同市は、災害時の迅速な状況把握や対応策の検討を目的に、2015年6月より「DJI PHANTOM 3 PROFESSIONAL」を導入、現在は上位機種である「INSPIRE2」を含めた4機を運用し、有人機を補完しながら、単独の組織でより広範囲に災害状況の把握が可能になったが、局地的大雨などの災害対応では土砂崩れや河川の氾濫など地上からの捜索や状況把握には危険が伴うので、捜索活動が制限される場合があった。

駿河湾に面する静岡県焼津市と藤枝市の2市を管轄する志太消防本部は、「MATRICE 210」と赤外線カメラ「ZENMUSE XT」を試験運用。「火災で視界が制限される現場においても要救助者や火災元の特定や、広大な海上でも、漂流している要救助者の効率的な捜索が期待される」(同社)。消防本部では消防活動とともに水難救助活動対応を行っているが、炎が燃え上がる火災現場や広大な海洋で要救助者を可視光や肉眼で確認することは非常に困難で、これまで要救助者を探す有効な手段は多くはなかったという。

愛知県豊川市防災対策課は、多用途でのドローン活用を目指し、風水害や地震だけでなく、津波災害が発生した際の広範囲における状況把握を想定し、今回、30倍光学ズームと6倍デジタルズームを搭載した空撮カメラ「ZENMUSE Z30」を運用。ズーム機能を活用することで、広大な海上でも飛行高度を落とさずに飛行できるため、上空での接触や墜落などの二次災害の心配なく、捜索活動を行うことができる。長距離飛行が求められる津波災害対応において、ドローンの自動飛行を制御、計画するソフトウェア「GROUND STATION PRO」(GS PRO)のオートパイロット機能を活用することで、長時間、長距離に渡る飛行でも効率的で安全な情報収集が可能になる。

■ニュースリリースはこちら
https://www.dji.com/jp/newsroom/news/m200-rescue

(了)

リスク対策.com:横田 和子