2017/12/06
防災・危機管理ニュース
国土交通省は5日、「海岸保全施設における水門・陸閘(りっこう)等の維持管理マニュアル策定検討委員会」の第4回会合を開催した。津波や高潮対策で重要な水門や陸閘といった施設の管理に関する手引きを、主に堤防や護岸についてまとめている既存の「海岸保全施設維持管理マニュアル」に入れた、同マニュアルの改訂案が提示された。点検の内容や土木構造物部分のチェックなどを盛り込む。今年度中に最終的にまとめる。
国交省では水門・陸閘の維持管理マニュアルを新規に作る予定だったが、新規作成によって堤防・護岸と水門・陸閘で点検・評価項目が重複したり、水門・陸閘の土木構造部分は現行マニュアルとほぼ同じ内容であり、1つで済んでいた長寿命化計画が2つのマニュアルに分断されたりするといったデメリットがある。このため、海岸保全施設の現行マニュアルを改訂し、水門や陸閘に関する項目を追加することとなった。
改訂案では水門・陸閘の動力で開閉するような大規模設備を「一般点検設備」、小規模な設備を「簡易点検設備」と設定。一般点検設備は年1回の年点検と月1回の管理運転点検を、簡易点検設備は年数回の管理運転点検を行う。津波や高潮といった災害が発生後は、開閉操作を行ったりして臨時点検を行う。災害対応で必要だった開閉作業についても臨時点検と同様に扱う。
堰柱や門柱といった土木構造物部分の破損や変形が設備部分にも大きな悪影響を与えるとし、土木構造物部分の点検や変状ランクを設定。変状ランクは4段階に設定。総合的な健全度評価では仮に設備部分の異常がなくとも、土木構造物の変状が大きければ、健全度に問題ありと判断し、対策をとるよう促す。総合的健全度も4段階で表示する。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方