MEMSセンサーを用いた構造物の挙動の計測結果から、迅速に構造物の健全性を評価するモニタリングシステム

大成建設は11月29日、横河電機、長野日本無線、東京大学と共同で、変形や振動を測るMEMSセンサーを用いた構造物の挙動の計測結果から、迅速に構造物の健全性を評価するモニタリングシステム「T-iAlert  Structure」を開発、実証実験を行い、その有効性を確認したと発表した。地震発生後に構造物の健全性を迅速に判断することで、その後の余震による二次災害を回避でき、インフラ構造物や生産施設などのBCP(事業継続計画)の早期立案が可能になる。

長期間にわたりメンテナンスが不要なMEMSセンサーを数カ所に設置し、配線不要な無線通信を用いて、地震発生前後に構造物に生じる振動やその変化を高精度に把握・分析することで、迅速に構造物の健全性を評価できるシステム。

横河電機が開発を担当するMEMSセンサー技術は、重力の100万分の1の加速度(1/1000gal:ガル)や鋼材の10億分の1の長さ(1nm:ナノメートル)の変化まで測定でき、構造物に生じたわずかな変形や微小な振動などの変化まで長期間に渡り正確に計測することができる。

長野日本無線が担当する無線通信技術は、建物内部の壁や天井などの構造物に影響されにくい920MHz帯の電波を使って無線通信を行い、複数のセンサーデータは、フロアーに設置された受信装置を介して診断PCに転送される。各センサーの低消費電力化を図るために時刻同期通信も行う。今後、電源がない場所へ設置することを考慮し、安定した自立電源装置を開発していく。

大成建設、東京大学が担当する構造物の健全性評価技術は、センサーが取得する観測データから、構造物の固有振動数やひずみ、傾斜角度を読み取り長期間の経時変化を監視することができる。また震度3以上の地震発生時には、1次診断として構造物に生じる振動から健全性を判定し、異常が認められる場合は、2次診断として損傷個所を推定することが可能となる。

従来は構造物の各所に多数設置したMEMSセンサーを用いて構造物の健全性を確認する方法があったが、センサーへの配線、数年毎の交換やメンテナンスが必要になるなどの課題があった。今後、2018年度までに、既存建物や土木構造物などのインフラ構造物を対象とした実証実験を積み重ね、同時に公共性の高い学校、病院、橋梁や生産施設などのBCP対策への提案を行いながら、2019年度4月から順次実施導入に向けた展開を進める。

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(了)

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リスク対策.com:横田 和子