2017/11/29
ニュープロダクツ

日立システムズと日立プラントサービスは28日、浄水場で利用する電動機や減速機など回転機器の稼働監視や保全業務を効率化する遠隔監視システムを開発。実証実験として利用した結果、システムを比較的安価に導入できる見通しを得ることができたと発表した。安価な無線型センサーを用いても、従来目視によって評価していた設備機器の状態を定量的に把握できることが判明したことによるもの。人手による巡回目視点検を自動化して点検業務を効率化できるほか、設備の延命化や最適な修繕時期を見極めることなどが可能になり、保全業務に関わるコストの低減に貢献できると見込む。
ネットワークやクラウド、IoT技術を持つ日立システムズと、浄水場の設備保守に関するOT(Operational Technology)・ノウハウを持ち包括維持管理サービスを提供している日立プラントサービスは、浄水場内の設備機器の稼働状況を遠隔監視できるシステムを共同で開発し、日立プラントサービスが管理業務を受託している浄水場内の設備で実証実験を1年間行った。

具体的には、撹拌機などの中に含まれている電動機の高速回転部付近と減速機の低速回転部付近に、後付けや取り外しが可能で配線も不要な無線型センサーを設置し、センサーから取得した機器の振動と温度に関するデータを、IoTゲートウェイ経由で日立製作所のクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud」へ蓄積した。その後1年にわたり蓄積した時系列データをグラフ化し、従来の点検業務で行ったハンディー計測計による測定結果と比較分析。その結果、振動データに相関的な傾向を確認できたことから、無線型センサーを用いた遠隔監視システムについて実現性の見通しを得ることができた。
同システムを導入することで、これまで定期的に修繕していた小型・中型の設備機器についても、無線型センサーを活用した常時監視により、人手をかけずに設備機器の状態を適正に評価でき、設備機器の状況に合わせて適切な時期に修繕を実施することが可能となる。設備の過剰修繕の削減や、安全性を保った状態での標準耐用年数を超えた設備利用なども可能になり、設備の導入・保全コスト削減を実現できる見込みだ。
例えば、日立プラントサービスが包括維持管理を行う浄水場内には、施設全体で約50台の回転機器があり、現在、高速回転部と低速回転部の部品交換を2年ごとに実施しているが、同システムを導入した場合、常時監視により状態基準保全(CBM)が可能となり、設備によっては、高速回転部と比較して回転数が少ない低速回転部の部品交換を、最大で2倍の4年の延命化を計画できる。
今後も、日立プラントサービスが包括維持管理業務を受託している浄水場で、将来の実運用を見据えた実証実験を継続的に実施していく予定だ。
■ニュースリリースはこちら
http://www.hitachi-systems.com/news/2017/20171128.html
(了)
防災・危機管理関連の新製品ニュースリリースは以下のメールアドレスにお送りください。risk-t@shinkenpress.co.jp
リスク対策.com:横田 和子
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方