機能が止まっては困る建築物整備のガイドラインをまとめる

国土交通省は20日、「防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン検討委員会」の第2回会合を開催。災害対策拠点となる庁舎や病院、避難所となる学校といった災害時重要な役割を果たす施設整備にあたって、大地震など災害時に機能を継続できるように構造体の耐震性以外に設備の充実やライフライン途絶の対策などを盛り込んだガイドライン(指針)の試案を提示した。

ガイドライン案では地方自治体など建築主が大地震時に期待される機能を設計者に明確に伝え、設計者も建築主に機能継続性を説明するように呼びかける。構造体は変形を抑え、基礎を傾斜・沈下させないことを重視。国交省の「官庁施設の総合耐震・津波対策計画基準」など既にあるガイドラインが参考になることも盛り込んだ。

非構造部材については過去の被害事例も参考に、余裕を持たせる設計とすることや、什器を床や壁といった構造体に直接固定することが望ましいとした。設備についてはエレベーターの耐震性のほか、停電対策として電源の多重化、井戸や非常用水源の確保といった電気や水の確保、津波で低層部分の浸水が見込まれる場合は浸水予想より高い位置に設備を置くといった対策を求める。

立地についてはハザードマップ活用などで災害リスクが低い立地の選択が望ましいとしつつ、必ずしもリスクを最小化できない敷地とせざるをえないケースもある。前述のように設備を安全な位置に置くなどのほか、津波の高さに気をつけるなどしながら、エレベーター停止に備え重要な部屋を近接させ、低層階に置くことを記載する。

検討委員会には国交省以外に内閣府、厚生労働省、文部科学省、消防庁からも関係者が出席。試案では施設用途ごとに機能継続性の目標をあらかじめ示すことはしないとなっているが、「庁舎と病院、学校では求められるものが違うのでは」という意見が出て、特に避難所となる学校の特殊性を指摘する声が多かった。

今後、案の修正を行い2018年2月にパブリックコメントを募集、同3月にとりまとめを行う予定。東京大学名誉教授の久保哲夫委員長は「学校については(国交省が務める)事務局や文科省と調整したい」と述べ、修正の方向性を示した。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介