2020/10/31
事例から学ぶ
「オールハザードアプローチ」――災害の種類や規模を問わず、あらゆるハザード(危険)に対して、柔軟に対応できるようにする考え方をこう呼ぶ。東急グループでは、東日本大震災以降、オールハザードに対応できるBCP構築を目指して活動している。事態への対応に必要となる人、物、金、そして情報を、状況に応じて活用し、主要事業を守り抜く。この手法により、ビル清掃や設備のメンテナンスなどビルの管理運営業務などを手がける東急ファシリティサービスでは、緊急事態宣言下でも、感染予防を徹底させながら従業員を安全に作業に当たらせ、顧客サービスの維持に努めている。同社のこれまでの取り組みを聞いた。
東急グループでは、東急線沿線を中心に、交通、不動産、生活サービス、ホテルやリゾートなど、人々の生活に密着したさまざまな事業を展開してきた。グループが連携しながら暮らしに密着した街づくりを実現する一方で、大規模災害時においては一極集中する事業展開が大きなリスクとなり得るため、東日本大震災以降、特に地震災害などのリスクに対して街全体の機能を維持する「新しい時代のサステナブルなまちづくり」をスローガンに掲げ、BCPなどを強化してきた。
グループが一つとなって地域と連携し、有事における難しい地域課題を解決していくことにより、“Make the Sustainable Growth”を実践していく。そのシンボリックなハブ機能として2018年に誕生したのがBC研究センターだ。BC(事業継続)を通して人・企業・まちを強くし、いざというときに東急線沿線という地域社会を継続させ、東急グループの事業を存続させる一翼を担うことを目的としている。
BC研究センターは、グループ各社の施設管理などを行う東急ファシリティサービス内にある。従業員数は約2000人で、東急グループが建設したビルを中心に約1500の大小さまざまなビルを管理・運営しているグループ会社の事業継続をインフラ面で支える企業だ。
BC研究センターは全組織横断の組織として専任メンバー8人を置き、全部門長12人が兼務。専任メンバーにはグループ企業からの出向者も入り、グループ各社とヨコの連携も強化しながら、BCに関する専門講座や講演会、セミナー、研究、訓練・演習などを行い、事業継続計画の成熟度を高めている。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方