2017/11/09
防災・危機管理ニュース

自由民主党の「学校耐震化・施設整備等促進議員連盟」は8日、東京・千代田区の同党本部で総会を開催した。災害時の避難所となる公立学校について、1970年代の第2次ベビーブーム時に対応するため建てられたものが多く、築30年以上が約7割を占めることを報告。2018年はベビーブームがピークとなった1973年から45年となることから、「2018年、学校老朽化ゼロ始動。」をキャッチフレーズとして予算確保などを呼びかける。
全国の公立学校の1億5787万m2のうち、1970年代から15年間にあたる築30~45年の学校は8373万m2と53%。それ以前に建てられた施設も合わせると67%が老朽化の問題を抱える。
2016年4月現在、公立小中学校の耐震化率は98.1%、同高校は96.4%に達している。しかし、学校施設における外壁や窓の落下といった安全面や機能面での不具合の発生件数は2016年度に3万1677件で、2011年度の2.2倍にまで増加。災害時はより問題の発生が見込まれる。
同議連では老朽化対策は災害対策としても重要であると位置づけ。文部科学省の公立学校施設整備費は2015年度当初予算が2049億円だったが、2016年度には709億円に減少。補正予算で1407億円が確保できたが、今年度の当初予算は690億円にまで減少した。補正予算確保や当初予算での必要額計上のほか、2016年4月現在大学で88.8%、幼稚園から高校までで86.4%に耐震化率がとどまる私立学校の早期耐震化を促す措置も要望する。9日の自民党文部科学部会でも報告する。
同議連会長の河村建夫・衆院議員は「耐震化は公立学校が早く進んでいるが、私立も早く進めたい。当議連は最初、耐震化のみ取り上げていたが、名称を変更し施設整備についても対策を検討するようになった。補正予算など必要措置を求めたい」と述べた。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方